gallery αMが2023年度より市ヶ谷に移転

 

2022年11月17日、武蔵野美術大学は同学が運営する非営利ギャラリー「gallery αM」の拠点を現在の日本橋・馬喰町から同学市ヶ谷キャンパスに移転すると発表した。

gallery αMの歴史は、1988年に現代美術に主眼を置いた新人発掘とその発表の場として吉祥寺に開設された「ギャラリーαM」にはじまる。同地での14年余にわたる活動期間を経て、2002年3月に閉廊すると、同年7月からは学生が主体となって運営する「αMプロジェクト」として、特定の場所をもたずに柔軟性の高い展覧会活動を展開する。同学が創立80周年を迎えた2009年、それまでの活動趣旨を引き継ぎつつ、ジャンルを問わず、質の高い表現と可能性を有するアーティストに作品の発表機会を提供するとともに、社会に斬新な価値を発信できるキュレーターに展示企画の場を提供することの二点をコンセプトに、現所在地である馬喰町に「gallery αM」を再開設した。大学から独立したスタンスを保ち、第一線で活躍する学芸員や批評家をゲストキュレーターに招聘し、年間を通じた展覧会企画を実施するなど、日本の現代美術の発展において重要な位置を築いてきた。

 


市ヶ谷キャンパス移転後の「gallery αM」完成イメージ

 

gallery αMディレクターの袴田京太朗は市ヶ谷キャンパスへの移転について、「「gallery αM」が学内のキャンパスに入ることにより、これまで築いてきた独立したスペースというイメージが薄れてしまうのではないかという懸念もありました。並行して学外の新たな拠点への移転も検討しましたが、「αMプロジェクト」の根幹が常に新しい価値を模索する「オルタナティブ」であることを考えたとき、むしろ市ヶ谷キャンパス内への移転を新しい挑戦と捉えることこそが「クリエイティブ」な選択ではないか、という結論に至りました」と語り、「市ヶ谷キャンパス内での新たな「αMプロジェクト」の活動にともない、より開かれた外部的な視点を得て、新しい価値を発信していくことを目的に、ゲストキュレーター経験者を中心とした外部の有識者の方にαMプロジェクト運営委員として加わっていただく予定」だと今後の展望を語っている。新たなスペースは、2023年5月にオープンを予定している(移転先住所:東京都新宿区市谷田町1-4 武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス 2階)。

なお、本年度のgallery αMでは、豊田市美術館学芸員の千葉真智子をゲストキュレーターに迎えたαMプロジェクト2022「判断の尺度」を実施。現在、その4本目の展覧会となる『判断の尺度 vol.4 大木裕之|tiger/needle とらさんの墨汁針』を開催している。

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