第59回ヴェネツィア・ビエンナーレ、アーティスティックディレクター発表


Padiglione Centrale_Giardini_Photo by Francesco Galli_Courtesy La Biennale di Venezia

 

2020年1月10日、ヴェネツィア・ビエンナーレ事務局は、2021年開催予定の第59回ヴェネツィア・ビエンナーレのアーティスティックディレクターに、ニューヨークのハイライン・アートのディレクター兼チーフキュレーターのチェチリア・アレマーニを任命した。

ヴェネツィア・ビエンナーレの長い歴史において、初の本国出身女性のアーティスティックディレクターとなるアレマーニは任命を受けて、「この職に就任する初のイタリア出身の女性として、その責任と与えられた機会を理解し、感謝します。アーティストが自分自身の持つヴィジョンと現代社会を反映する優れたプロジェクトに創り出し、発表するための場を与えたい」と語った。イタリア出身という条件を外しても、2011年に共同キュレーションを務めたマリア・デ・コラルとロサ・マルティネス、2011年のビーチェ・クーリガー、2017年のクリスティーヌ・マセルに続く5人目の女性のアーティスティックディレクターとなる。近年、オクウィ・エンヴェゾー(ハウス・デア・クンスト)、クリスティーヌ・マセル(ポンピドゥーセンター)、ラルフ・ルゴフ(ヘイワード・ギャラリー)といった世界有数の美術館のキュレーターへの任命が続く中で、第59回展の同職には美術館職を持たずにインディペンデント・キュレーターとして数々の企画を手がけてきたアレマーニが抜擢されることとなった。

チェチリア・アレマーニ(1977年ミラノ生まれ)は、2011年より様々な形式を通じて公共空間での現代美術の役割の拡張を試みるハイライン・アートのディレクションを担い、200以上のアーティストに発表の場を与えてきた。サラ・ジー、エル・アナツイ、キャロル・ボヴェ、アドリアン・ビジャール・ロハス、ゾイ・レオナード、ドロシー・イアンノーネ、フィリーダ・バーロウなどがコミッションを手がけ、笹本晃も2015年にパフォーマンス作品《Food Rental》を発表、2019年にシモーン・リーが制作した5メートル近い公共彫刻《Brick House》は2020年9月まで公開されている。また、2017年の第57回ヴェネツィア・ビエンナーレではイタリア館のキュレーターを務め、ジョルジオ・アンドレオッタ・カロ、ロベルト・クオーギ、アデリタ・フスニ=ベイによるグループ展を企画している。ミラノ大学で美学を専攻したアレマーニは、ニューヨークのバードカレッジのキュレトリアルスタディーズセンターで修士号を取得。2009年には世界各地のオルタナティブスペースやNPO、アーティスト・コレクティブを招待した企画『No Soul For Sale』をニューヨークのXイニシアティブとテート・モダンで開催し、2009年1月から2010年2月の約1年間のみ運営されていた、非営利スペース「Xイニシアティブ」でキュレトリアル・ディレクターを務め数々の実験的なプログラムを手がける。2011年にはパフォーマ11のゲストキュレーター、2012年から2017年にはフリーズ・ニューヨーク内のプロジェクツを担当。2018年にはブエノスアイレスで開かれたアート・バーゼル・シティズのアーティスティックディレクターを務め、街中に展開する展覧会『Hopscotch (Rayuela)』を開催した。そのほか、美術館や非営利スペース、コマーシャルギャラリーなどで数々の企画を実現している。

 


Roberto Cuoghi, Installation view of Italian Pavilion, 57th Venice Biennale, 2017. Photo: ART iT


Adelita Husni-Bey, Installation view of Italian Pavilion, 57th Venice Biennale, 2017. Photo: ART iT

 

なお、オーストラリア、ニュージーランド、アイスランド、カナダでは既にナショナル・パビリオンを担当するアーティストを発表しており、オーストラリアは第56回展『All the World’s Futures』への参加経験があり、音楽家としても知られるマルコ・フジナート、ニュージーランド(アオテアロア)はサモア出身で日本にもルーツを持つユキ・キハラ、アイスランドは2018年にアイスランド美術賞を受賞したシグルズル・グジョンソンがそれぞれ個展を行なう。カナダは昨年の第58回ヴェネツィア・ビエンナーレ『May You Live in Interesting Times』を含む過去4度の同ビエンナーレや過去3度のドクメンタへの参加をはじめ、数々の国際的な経験を持ち、来月開催の恵比寿映像祭への参加も決まっているスタン・ダグラスの個展を開催する。

昨年の第58回ヴェネツィア・ビエンナーレは、閉幕直前にここ50年で最悪の高潮による浸水被害を受けながらも半年近い会期に約60万人が会場を訪れた。2020年5月23日(プレオープンは21、22日)に開幕を控える第17回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展は、マサチューセッツ工科大学建築計画学部長のハシム・サルキスが「How Will We Live Together?」のタイトルの下にキュレーションを手がける。日本館は明治大学准教授・アソシエイツパートナーの門脇耕三がキュレーターを務め、「エレメントの軌跡――建築の生産の連鎖をデザインする」のテーマで展示を行なう。

 

ヴェネツィア・ビエンナーレhttps://www.labiennale.org/

 


 

過去10回のディレクター一覧
第58回(2019)|ラルフ・ルゴフ
第57回(2017)|クリスティーヌ・マセル
第56回(2015)|オクウィ・エンヴェゾー
第55回(2013)|マッシミリアーノ・ジオーニ
第54回(2011)|ビーチェ・クリーガー
第53回(2009)|ダニエル・バーンバウム
第52回(2007)|ロバート・ストー
第51回(2005)|マリア・デ・コラル、ロサ・マルティネス
第50回(2003)|フランチェスコ・ボナミ
第49回(2001)|ハラルド・ゼーマン

Copyrighted Image