ルネ・ラリック リミックス ―時代のインスピレーションをもとめて

展覧会「ルネ・ラリック リミックス ―時代のインスピレーションをもとめて」が 東京都庭園美術館で2021年6月26日(土)から9月5日(日)まで開催される。

※開催内容は、今後の状況により変更になる場合があります。予めご了承ください。

展覧会概要 

19世紀末から20世紀半ばにかけて、ジュエリー作家/ガラス工芸家という肩書を超えて、生涯を通して芸術家としての独自の道を切り拓いたルネ・ラリック(1860-1945)には、尽きることのないインスピレーションがありました。

とりわけフランス、シャンパーニュ地方の小さな村アイに生まれたラリックにとって、幼少期から身近な存在だった「自然」は、その多様なインスピレーションの根源ともいえるでしょう。自然を注意深く観察することによって培われた眼差しは、やがてイギリスでの経験や日本美術からの影響、大戦間期における古代ギリシア・ローマへの回帰やエキゾティックな嗜好、新しい女性たちのイメージなど、20世紀初頭のフランスに起ったさまざまに異なる芸術潮流と結びつきながら磨かれていきました。例えば浮世絵にインスピレーションを得て、パリ郊外の自邸付近で撮影した雪景色を表現したペンダントや、1909年に他界した妻アリスの面影をシダのなかに刻印した香水瓶。同時代の世界と日常身辺の心躍る事象や個人的な記憶に、鋭い観察眼と想像力によって新しいかたちを与え、「装飾品」として人々の身近なものにしたのです。

希少なジュエリーからより多くの人々のためのガラス作品への転換は、急速に変化する社会のなかで芸術と生活がどのような関係を結ぶことができるのかを示そうとするものでした。生きることとつくること―ルネ・ラリックが、自然を起点としてどのように世界を観照し、装飾という芸術を希求したのかを明らかにします。

 

本展のみどころ

■ルネ・ラリックがキャリア初期に手掛けた希少なジュエリー

量産されたガラス作品と異なり、1880年代から1900年代初頭の間に制作されたほとんど1点もののラリックのジュエリーは国内外でもとても希少なものです。本展では、20点のジュエリーと2点のデザイン画を公開します。斬新な素材のあつかいと多様なインスピレーションによって、大女優サラ・ベルナールや詩人ロベール・ド・モンテスキューのような同時代を象徴するインテリジェンスに愛されたラリックのジュエリー。「モダン・ジュエリー」の祖といわれるルネ・ラリックのジュエリーを実際に見ることができる貴重な機会です。

■自然光のなかでみるラリックのガラス作品

ルネ・ラリックの作品は本来建具やプロダクトとして同時代の都市生活のなかで使われていたものでした。1933年、ラリックが生きた時代に建設され、実際にラリックが作品を提供している当館の旧朝香宮邸で、ラリックのガラス作品がもっとも美しく見える自然光のなかで作品を体験できます。

■建築家・中山英之による新館ホワイトキューブの展示デザイン

本館の旧朝香宮邸の空間と対照的な新館ギャラリーでは、中山英之による「もうひとつの建物」で、生活の空間で使われてきたラリックのガラス作品と、作品のバックグラウンドを「図鑑」のように体験できる新鮮な展示空間を展開します。ラリック作品の新しい魅力に出会うことができるでしょう。

バタフライ・ブローチ《シルフィード》 1900年頃、個人蔵、協力:アルビオン アート・ジュエリー・インスティテュート
ペンダント《冬景色》1898年頃、個人蔵、協力:アルビオン アート・ジュエリー・インスティテュート
ブレスレット《ヴェロニカ》1900年頃、個人蔵、協力:アルビオン アート・ジュエリー・インスティテュート
常夜灯《ツバメ》、ほや《つむじ風》1919年、ギャルリー オルフェ
香水瓶《シダ》1912年、北澤美術館蔵、撮影:清水哲郎
「工芸の中庭」列柱廊・扉装飾パネル《ガラス職人》1925年、大村美術館(角館)蔵

 

『ルネ・ラリック リミックス』展 公式図録

展示風景を収録した公式図録を販売。会場まで足を運べないお客様にも図録にて本展覧会をお楽しみいただけます。

・出版社 :株式会社左右社

・発行日 :2021年7月31日(土)予定

・デザイン:岡崎由佳

・会場撮影:三部正博

・執筆者 :樋田豊次郎(当館館長) /ヴェロニク・ブリュム(ラリック美術館館長)/筧菜奈子(東海大学教養学部講師)/池田まゆみ(北澤美術館主席学芸員)/牟田行秀(当館副館長) /田中雅子(当館学芸員・本展企画者)

 

基本情報

会  期   

2021年6月26日(土)–9月5日(日)

会  場      

東京都庭園美術館  |東京都港区白金台5–21–9

開館時間    

10:00–18:00 *入館は閉館の30分前まで

休  館  日  

毎週月曜日 *ただし7月26日、8月2・9・30日は開館、8月10日(火)は休館

入  館  料  

一般=1,400円/大学生(専修・各種専門学校含む)=1,120円/中・高校生=700円/65歳以上=700円

お問い合わせ先

050-5541-8600

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