特別展「描く人、安彦良和」

©創通・サンライズ ©高千穂&スタジオぬえ・サンライズ ©サンライズ ©安彦良和・THMS ©学研・松竹・バンダイ ©安彦良和/KADOKAWA

 

2024年6月8日(土)~9月1日(日)の期間、兵庫県立美術館にて「描く人、安彦良和」を開催いたします。
『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザイナー兼アニメーションディレクターであり、漫画家としても活躍する安彦良和の創作活動を展望する回顧展です。北海道遠軽町に開拓民の3世として生まれ、大学では学生運動に参加し、その後上京してアニメ制作に参加、漫画家に転身する激動の半生を振り返ります。アニメや漫画など、特定のジャンルに注目した安彦良和の個展はこれまでにも開催されてきましたが、本展は少年期、青年期の歩みから、現在の創作まで、多彩な分野の作品を取り上げ、そこに共通するテーマに迫る、初の試みです。
また、安彦良和のライフワークとも言うべき日本の古代史、近代史を取材した漫画作品は、緻密な時代考証の上に豊かなイマジネーションを加えた魅力あふれる創作劇(フィクション)です。歴史そのものがもっている魅力と、安彦良和という表現者のイマジネーションの魅力の双方を味わうことのできる機会ともなるでしょう。なお、2024年は『機動戦士ガンダム』放映45周年、安彦良和が喜寿(77歳)を迎えるメモリアルイヤーです。

安彦良和 略歴

1947年北海道遠軽町に開拓民の3世として生まれる。66年弘前大学入学、学生運動に参加したことから除籍となり上京、『機動戦士ガンダム』でキャラクターデザインとアニメーションディレクターを担当、『クラッシャージョウ』で劇場版アニメの監督を務め、テレビアニメ作品では自身が原作の『巨神ゴーグ』を生み出す。後にマンガ家に転身し『アリオン』『ヴイナス戦記』『クルドの星』『ナムジ』『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』他を精力的に発表。現在『乾と巽-ザバイカル戦記-』執筆中。

1990年 第19回日本漫画家協会賞優秀賞(『ナムジ』)
2000年 第4回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞(『王道の狗』)
2011年 第43回星雲賞コミック部門(『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』)
2021年 第44回日本アカデミー賞協会特別賞受賞
2022年 令和4年度文化庁映画賞(映画功労部門)受賞

本展の見どころ

・幼少期から現在に至るまでの安彦良和の創作活動の軌跡をたどることのできる、約1,400点の資料を展示します。『機動戦士ガンダム』(劇場版)のポスターラフ案など、本展が初公開のものも多数あります。
・アニメに関する資料だけでなく、安彦良和のライフワークとも言うべき日本の古代史、近代史を取材した漫画原稿なども展示することによって、安彦良和の創作活動の全貌に迫る初の試みです。
・安彦良和の高い画力から生み出された原画や原稿は、まさに絵画といえます。
・会場には、安彦良和による描き下ろしのイラストも展示されます。

展覧会構成

本展覧会は幼少期から現在に至るまでの安彦良和の制作活動を、大まかな時代とジャンルによって分類した6つの章で構成されています。

1章 北海道に生まれて
北海道遠軽町に開拓民の3世として生まれた安彦良和は、幼い頃から絵を描くのが大好きな少年でした。1966年に弘前大学に入学すると学生運動に参加し、そのことから除籍となります。本章では大学時代までに描かれた様々な資料により青年期までの安彦良和の活動をたどります。
①北海道遠軽での少年時代
②全共闘時代、学生運動
主な出品作品・資料:『遙かなるタホ河の流れ』(ノートに書いた漫画作品)、同人誌『こんみゆん』

『重点整理帳(理科)』より

2章 動きを描く
弘前大学を除籍となった安彦良和は、生活のためアニメーション制作会社である虫プロダクションの養成所に入所し、研修生を経て、アニメーターとして活躍を始めます。漫画やイラストを自己流で描いてきた安彦良和ですが、その卓越した画力はアニメーション業界において一躍注目を集めるようになります。
本章で取り上げる主なアニメーション作品:『わんぱく大昔クムクム』(1975-76)、『宇宙戦艦ヤマト』(1974-75)、『無敵超人ザンボット3』(1977-78)

3章 カリスマ・アニメーターの誕生
花形アニメーターとして注目を浴びる存在となった安彦良和がキャラクターデザインとアニメーションディレクターを務めた『機動戦士ガンダム』は、社会現象を巻き起こすほどの人気作品となりました。本章では、様々な資料で『機動戦士ガンダム』の制作において安彦良和が果たした役割を辿ります。
本章で取り上げる主なアニメーション作品:『機動戦士ガンダム』(1979-80)、『機動戦士Zガンダム』(1985-1986)、『機動戦士ガンダムF91』(1991)

『機動戦士ガンダム』(劇場版)ポスター原画©創通・サンライズ

 

4章 アニメーターとして、漫画家として
『機動戦士ガンダム』もその一翼を担った1980年代のアニメーションブームの中で、安彦良和はアニメーションの監督、小説の挿絵、漫画執筆と次々に新たな挑戦を始めます。本章では、そうした安彦良和の多彩な活躍を概観します。
本章で取り上げる主なアニメーション作品等:『クラッシャージョウ』(小説挿絵:1977- 、劇場用アニメ:1983)、『巨神ゴーグ』(1984)、『アリオン』(漫画:1979-1984、劇場用アニメ:1986)、『ヴイナス戦記』(漫画:1986-1990、劇場用アニメ:1989)

『アリオン』より©安彦良和
『クラッシャージョウ』イラスト原画©高千穂&スタジオぬえ・サンライズ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5章 歴史を描く
漫画に専念するようになった安彦良和は、古事記などの神話を再解釈して古代日本をダイナミックに描いた『ナムジ』を皮切りに、歴史漫画家として活躍を始めます。日本の古代史と近代史を両輪に、歴史の渦に翻弄されながら懸命に生きる「小さき者」たちの躍動をとらえた作品群は、現代の私たちに多くの示唆を与えてくれます。一方で西洋にも目を向け、キリスト教へのアプローチを試みた作品も発表しました。
本章でとりあげる主な漫画作品:『ナムジ』(1989-1991)、『ヤマトタケル』(2012-2018)、『ジャンヌ Jeanne』(1995-1996)、『イエス JESUS』(1997)、『虹色のトロツキー』(1990-1996)、『王道の狗』(1998-2000)、『天の血脈』(2012-2016)

『ナムジ』より©安彦良和/KADOKAWA

 

『ジャンヌ』より©安彦良和

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6章 安彦良和の現在
漫画家として活躍を続けていた安彦良和ですが、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のOVA以降、アニメーションに再び携わるようになります。本章では安彦良和が監督を務めた最新のアニメ作品とともに、今なお揺れ動く世界に対する思いの込められた連載中の漫画作品をご紹介します。
・『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(漫画:2001-2011、2015、アニメ:2015-2018)
・『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』(2022)
・『乾と巽-ザバイカル戦記-』(2018- )

 

関連イベント

詳細が決まり次第、展覧会公式サイト及び兵庫県立美術館公式サイトにてお知らせします。


同時期開催の展覧会等
■兵庫県立美術館
コレクション展 I 白髪一雄生誕百年特別展示ーコレクションからザ・ベリー・ベスト・オブ・白髪一雄ー
4月25日(木)-7月28日(日)
コレクション展Ⅱ コレクションから「女性」特集!ー女性作家と描かれた女性と(仮題)
8月20日(火)-12月8日(日)
Ando Gallery 入場無料

■横尾忠則現代美術館
横尾忠則 寒山百得展
5月25日(土)-8月25日(日)


開催概要

展覧会名:描く人、安彦良和
会   期:2024年6月8日(土)~9月1日(日)
※島根県立石見美術館(2024/9/21-12/2)他に巡回予定
休    館   日:月曜日(ただし、7月15日(月・祝)と8月12日(月・振休)は開館。7月16日(火)と8月13日(火)は休館)
開 館 時 間:午前10時~午後6時(入場は閉館の30分前まで)
会   場:兵庫県立美術館
〒651-0073 神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1[HAT神戸内]
主   催:兵庫県立美術館、毎日新聞社、MBSテレビ、神戸新聞社
協   賛:公益財団法人伊藤文化財団、大和ハウス工業
特 別 協 力:公益財団法人日本教育公務員弘済会 兵庫支部
企 画 協 力:PONTOON
協     力:アニメ特撮アーカイブ機構、潮出版社、NHK出版、科学映画館を支える会、Gakken、KADOKAWA、九月社、講談社、スタジオぬえ、創通、中央公論新社、東映、東北新社、バンダイナムコフィルムワークス、文藝春秋
後   援:デイリースポーツ、サンテレビジョン、ラジオ関西
観   覧   料:一般1,900円(1,600円)、大学生1,000円(800円)、高校生以下無料、70歳以上950円
※()内前売料金 6月7日(金)23:59まで販売
障害者手帳等をお持ちの方(一般)450円、障害者手帳等をお持ちの方(大学生)250円

◆事前予約制ではありません。混雑時は入場制限を行いますので、お待ちいただく場合がございます。
◆団体は20名以上。団体鑑賞をご希望の場合は1ヶ月前までにご連絡ください。
◆一般以外の料金でご利用される方は証明できるものを観覧当日にご提示ください。
◆障害者手帳等をお持ちの方1名につき、介助者1名無料です。
◆コレクション展は別途観覧料が必要です(本展とあわせて観覧される場合は割引があります)。
◆兵庫県立美術館ギャラリー棟3階ギャラリーで開催の「キース・へリング展」(4月27日(土)~6月23日(日)及び「北斗の拳40周年大原画」展(7月6日(土)~9月1日(日)との相互割引があります)
◆京都文化博物館で開催される「日本の巨大ロボット群像」展(7月6日(土)~9月1日(日))との相互割引があります。

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