特別展「スーラージュと森田子龍」

森田子龍(左)とスーラージュ(中央)1963 年、パリにて

フランスのアヴェロン県と兵庫県との20年をこえる友好提携を記念し、1950年代から直接交流のあった画家のピエール・スーラージュ(1919-2022/アヴェロン県出身)と書家の森田子龍(1912-1998/兵庫県出身)の展覧会を開催します。
国際交流は何をもたらし、文化的なアイデンティティはいかにして生まれるのでしょうか。スーラージュ美術館の全面的な協力により開催される本展では、二人の作品合わせて約50点に加え、書籍や日記などの資料を通して、芸術家の出会いを考えます。

 

みどころ

「前衛書」の旗手として世界的に知られる書家、森田子龍は、兵庫県豊岡市の出身。その作品は、1950年から60年代にかけて海外で開催された展覧会に次々と出品され、大きな注目を集めました。森田子龍の展覧会が神戸で開催されるのは約30年振りで、約30点の作品が一堂に会します。

パリのルーヴル美術館で2019年から2020年に個展が開催されるなど、フランスの国民的な画家として人気を誇るピエール・スーラージュ。故郷ロデーズにあるスーラージュ美術館から出品される17点のうち16点は“日本初公開”。もう1点は、1951年に日本で初めて展示されたスーラージュの作品で、このたび、約70年振りに来日します。

コロナ禍による二度の延期、2022年10月スーラージュ氏の102歳での逝去を経て、ついに実現した今回の二人展。森田の編集する雑誌『墨美』を通じて交流が始まった「白黒の仲間 」の競演を
見ることができるのは、兵庫県立美術館だけです。(本展は巡回の予定はありません)
※モノクロームの作品を描く画家たちを指す、森田の言葉。

若い世代の方にも気軽にお越しいただけるよう、大学生の観覧料を特別に1,000円(前売り800円)に
設定しました。なお、高校生以下は「無料」です。ご家族やご友人と一緒にお越しください。

 

戦後まもない時期、海外の抽象画と日本の前衛書は、国境やジャンルをこえて、同時代性を示していました。森田子龍が編集を行っていた『墨美』(1951年6月創刊)では、1950年代、欧米の抽象絵画を次々と紹介しています。

ピエール・スーラージュとの関係も、『墨美』をきっかけに始まりました。『墨美』26号(1953年8月)には、本人から提供された作品写真10枚が掲載されています。

「スーラージュは『墨美』が非常に好きでよく見てくれているそうですが、
そんなことから今度アルコプレーを通じて送ってくれたのです」
(「書と抽象絵画・座談会」『墨美』26号より)
※ドイツ系アメリカ人の画家

モノクロームの作品を描く画家たちを、森田は「白黒の仲間」と呼び、そのような仲間ができることは喜びであり、励みになったと述べています。1958年、初めて来日したスーラージュは、森田らと直接、意見を交わしました。1963年には、ヨーロッパを歴訪した森田が、パリでスーラージュ夫妻と再会しています。

戦後の抽象絵画を代表する画家のひとりである、「黒の画家」ピエール・スーラージュと、1952年に4名の同志とともに「墨人会」を結成し、新しい書のあり方を追い求めた森田子龍。二人は交流を通じ、互いの表現の共通点と相違点について考えを深めました。


■ピエール・スーラージュ(Pierre Soulages 1919-2022)
1919年、フランス南西部アヴェロン県ロデーズに生まれる。画業の最初期から晩年に至るまで、一貫して抽象を追究した。2014年、故郷ロデーズに、その名を冠した美術館が開館。生誕100年を記念し、2019年12月から2020年3月にかけて、パリのルーヴル美術館で個展が開催された(生前にルーヴルで個展が開かれたのは、ピカソ、シャガールに次いで3人目)。2022年没。

■森田子龍(もりた・しりゅう 1912-1998)
1912年、兵庫県豊岡市に生まれる。世界的に知られる前衛書家として活躍。雑誌編集者としての側面もあり、師の上田桑鳩のもとで1939年頃から『書道芸術』の、戦後1948年からは『書の美』の編集に携わる。1951年『墨美』を創刊、1981年に301号で終刊するまで、「書芸術雑誌」として幅広い内容を取り上げた。1998年没。


 

関連イベント

■記念講演会
出演:ブノワ・デクロン氏(スーラージュ美術館 館長)
日時:2024 年3月16日(土)14:00-15:30(開場13:30-)
会場:ミュージアムホール
定員:150名(先着順、要観覧券、芸術の館友の会会員優先座席あり)
■座談会
出演:稻田宗哉氏(書家)
日時:2024年5月3日(金・祝)14:00-15:00(開場 13:30-)
会場:レクチャールーム
定員:60名(先着順、要観覧券、芸術の館友の会会員優先座席あり)
■ゆっくり解説会 in Spring
展覧会の見どころを手話通訳および要約筆記付きで解説します
日時:2024年4月28日(日)13:30-14:25
会場:レクチャールーム
定員:60名(先着順)
■学芸員による解説会
日時:4月6日(土)、5月4日(土・祝) いずれも15:00-15:45(開場14:30-)
会場:レクチャールーム
定員:60名(先着順)
■ミュージアム・ボランティアによる解説会
日時:毎週日曜日11:00-(約15分)
会場:レクチャールーム
定員:60名(先着順)

 

開催情報

展覧会名:スーラージュと森田子龍

会期:2024年3月16日(土)~5月19日(日)

開館時間:10時~18時(入場は17時30分まで)

休館日:月曜日
※ただし、4月29日(月・祝)、5月6日(月・振休)は開館、4月30日(火)、5月7日(火)は休館

主催:兵庫県立美術館、神戸新聞社

企画協力:スーラージュ美術館館

協賛:公益財団法人伊藤文化財団

特別協力:公益財団法人日本教育公務員弘済会 兵庫支部

助成:笹川日仏財団、一般財団法人安藤忠雄文化財団

観覧料:一般1,600円(1,400円)、大学生1,000円(800円)、高校生以下無料、70歳以上800円

※()内前売料金 3月15日(金)23:59まで販売

障害者手帳等をお持ちの方(一般)400円、障害者手帳等をお持ちの方(大学生)250円

◆団体は20名以上。団体鑑賞をご希望の場合は1か月前までにご連絡ください。

◆障害者手帳等をお持ちの方1名につき、介助者1名は無料です。

◆一般以外の料金でご利用される方は証明書を当日ご提示ください。

コレクション展は別途観覧料が必要です(本展とあわせて観覧される場合は「割引」があります)

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