注目作家紹介プログラム チャンネル12 飯川雄大 デコレータークラブ メイクスペース、ユーズスペース 

開催趣旨

現在活躍しているアーティストを紹介するチャンネル展の第12回目として、兵庫県出身で同地を拠点に活動する飯川雄大(1981年-)の展覧会を開催します。飯川は、人の認識の不確かさや、社会で見過ごされた存在に注目する作品を作ってきました。2007年から継続しているシリーズ「デコレータークラブ」は、世界中の海に生息し、周辺の環境に擬態する性質を持った蟹(Decorator Crab)から着想したプロジェクトです。何かわからないものを見つけた時の驚きを他者に伝えることの難しさになぞらえ、認識と現実の間にあるズレを可視化する実践を続けています。写真に収めたくても全貌を写すことができない《ピンクの猫の小林さん》(2016-)、鑑賞者の行為によって別の空間に新しい出来事を起こす《0人もしくは1人以上の観客に向けて》(2019-)など、飯川は美術鑑賞のルールを利用して新たな体験を生み出しています。本展「デコレータークラブ メイクスペース、ユーズスペース」は、鑑賞の方法を刷新し、美術館あるいは観客を拡張していくことを試みます。展覧会の全容すら捉えがたく、伝えるのが困難だからこそ誰かに伝えたくなるこの稀有な機会をぜひお楽しみください。

飯川雄大《デコレータークラブ ―ピンクの猫の小林さん》
木材、蛍光塗料 サイズ可変 並木クリニック中庭の展示風景(2020) 撮影:阪中隆文

飯川雄大《デコレータークラブ ―0人もしくは1人以上の観客に向けて―》2021年
バッグ、ロープ サイズ可変 千葉市美術館つくりかけラボ04の展示風景(2021)撮影:阪中隆文

開催情報

注目作家紹介プログラム チャンネル12
飯川雄大 デコレータークラブ メイクスペース、ユーズスペース
DECORATOR CRAB: Make Space, Use Space

会期:2022年2月26日(土)~3月27日(日)
開館時間 :午前10時から午後6時 ※ 入場は閉館の30分前まで
休館日:毎週月曜日(ただし、3月21日(月)は開館、翌日(火)は休館)
会場:兵庫県立美術館 ギャラリー棟1階 アトリエ1、館内各所
観覧料:無料
主催:兵庫県立美術館
協賛:公益財団法人伊藤文化財団
助成:公益財団法人朝日新聞文化財団、公益財団法人小笠原敏晶記念財団、公益財団法人 中内力コンベンション振興財団、神戸文化支援基金

開催イベント

ゲストトーク
3 月6 日〔日〕「じっくりゆっくり感じること」石津智大(関西大学文学部心理学科准教授)
3 月12 日〔土〕「ガビンさんにガン見されたい!」伊藤ガビン(編集者、京都精華大学メディア表現学部教授)
3 月26 日〔土〕「0 人もしくは1 人以上の観客に向けて」服部浩之(キュレーター)
いずれも午後2 時から(約90 分)ミュージアムホールにて、聴講無料、定員120 名(当日先着順、友の会優先座席あり)

鑑賞ツアー
飯川さんの案内による作品鑑賞
3 月5 日〔土〕、19 日〔土〕、27 日〔日〕
いずれも午後1 時、午後4 時から(約30 分)
アトリエ1 集合、参加無料、定員10 名( 先着順)
申し込み方法は展覧会ホームページでご案内します。

なんだこれ?!アワー特別編
「バレそうでバレない、でもやっぱりバレそうなイタズラ」SP 公開収録
3 月21 日〔月・祝〕午後1 時半~ 4 時半 ※予定
ミュージアムホールにて、聴講無料、定員100 名(当日先着順)
飯川雄大、岩淵拓郎(なんだこれ?!サークルぶちょう)、鈴木慈子(当館学芸員)

作家紹介

飯川 雄大( いいかわ・たけひろ)
1981 年兵庫県生まれ。同地を拠点に活動。成安造形大学芸術学部情報デザイン学科ビデオクラスを卒業。 2019年「六本木クロッシング2019 展:つないでみる」(森美術館)、2020 年ヨコハマトリエンナーレ2020「AFTERGLOW ー光の破片をつかまえる」、2021 年個展「つくりかけラボ04 飯川雄大 デコレータークラブ ー0 人もしくは1人以上の観客に向けて」(千葉美術館)など。2022 年は、国立国際美術館の「感覚の領域 今、「経験する」ということ」(2 月8 日-5 月22 日)に出品予定。

 

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