トークイベント「沈黙による試みー映像のバリアフリー化について」オンライン配信

東京国立近代美術館は、トークイベント「沈黙による試み―映像のバリアフリー化について」の記録映像を、12月3日~9日の障害者週間(註1)に合わせてオンライン配信を開始いたします。本トークイベントは、当館が昨年度に制作した、田中功起《ひとつの陶器を五人の陶芸家が作る(沈黙による試み)》「手話とバリアフリー字幕版」の制作関係者や識者をゲストスピーカーに迎え、その制作過程を振り返るとともに、改めて映像のバリアフリー化について考えるものです。

現在、聞こえない人・聞こえにくい人は全国に約1000万人いると言われています。その方々は、映像作品を楽しむことに物理的なハードルがあります。近年、劇場公開している映画の約1割にはバリアフリー字幕(註2)がついており、バリアフリー字幕付上映を行っている劇場もあります。しかし、美術館での映像上映や映像インスタレーションの展示にバリアフリー字幕や手話がつく事はほとんどありません。そこで当館は、昨年度、幅広い鑑賞の機会を作るため、所蔵の映像作品である田中功起《ひとつの陶器を五人の陶芸家が作る(沈黙による試み)》の「手話とバリアフリー字幕版」を制作しました。世界的にみても稀な取り組みです。このたび、この作品制作を振り返るとともに、12月3日~9日の障害者週間に合わせて、事前収録した「映像のバリアフリー化」を巡るトークイベントのオンライン配信を開始しました。

ゲストスピーカーは、有泉寧(やすし)氏(日経映像プロデューサー)、木下知威(ともたけ)氏(日本社会事業大学講師、手話マップ代表)、田中功起氏(アーティスト)、保坂健二朗氏(滋賀県立美術館ディレクター)、今井ミカ氏(映画監督)、山上庄子氏(Palabra株式会社代表)です。

本トークイベントが、映像のバリアフリー化について考えるとともに、このような取り組みが広まるきっかけになれば幸いです。

(註1)障害者週間…障害者基本法で毎年12月3日~9日は障害者週間と定められています。国民の間に広く障害者の福祉についての関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他のあらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めることを目的としています。
(註2)バリアフリー字幕…バリアフリー字幕は、翻訳字幕と違い、セリフだけでなく、話者名や効果音、音楽など耳で聞こえる音声情報を文字化し、主に聴覚障害の方や高齢の方に向けて提供します。

 

【概要】

タイトル:トークイベント「沈黙による試みー映像のバリアフリー化について」
配信期間 : 2021年12月9日から2022年3月31日まで(予定)※ライブ配信はありません。
場所   : 東京国立近代美術館YouTubeチャンネル
https://youtu.be/5RsUijlnV70

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▶田中功起《ひとつの陶器を五人の陶芸家が作る(沈黙による試み)》
​「手話とバリアフリー字幕版」(2013/2021年)公開情報

オンライン: https://vimeo.com/530881240/ (2022年3月31日まで)

作品展示:東京国立近代美術館 所蔵作品展「MOMATコレクション」
2階11室(2022年2月13日まで)
https://www.momat.go.jp/am/exhibition/permanent20211005/

 

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