アジアン・アート・ビエンナーレ2026、参加アーティストの一部を発表

From left: Prihatmoko Moki (from Gegerboyo), Meita Melita, Lu Pei-yi, Labay Eyong, Chen Kuang-yi (NTMoFA Director), Anjali Nayenggita (from Gegerboyo), Enka Komariah (from Gegerboyo), Courtesy of National Taiwan Museum of Fine Arts

 

2026年5月、台中の国立台湾美術館が、11月に開幕を控えるアジアン・アート・ビエンナーレ2026のテーマや参加アーティストの一部などを発表した。TCAA受賞アーティストで日本とオーストラリアを拠点に活動する呉夏枝や、京都と滋賀の県境に位置する共同スタジオで、国内外でシェアミーティングを開催するなど、幅広いオルタナティブな活動を展開する山中suplexの参加も発表された。

2007年に設立されたアジアン・アート・ビエンナーレは、アジアの同時代の社会現象や美的問題を概観しながら、幅広い文化の変容や発展を議論し、世界におけるアジア的視座を持ったプラットホームの創出を目指してきた。近年は、学際的な背景を持つ複数のキュレーターを招聘した共同キュレーションを特徴としてきたが、2026年展は国立台北教育大学教授のルー・ペイイー[呂佩怡]が単独でキュレーターに抜擢された。同大大学院で批評をキュレーションを教えるルーは、美術館やギャラリーなど制度化された空間以外での芸術活動(オフサイト・アート)への造詣が深く、2024年に『Art/ Movement as a Public Platform- Studies on Contemporary Art and Social Movement』を出版。また、台湾における現代美術のキュレーションの歴史を研究した『Contemporary Art Curating In Taiwan 1992-2012』(2015)を出版、台北ビエンナーレ20周年を振り返る企画展「Declaration / Documentation: Taipei Biennial, 1996–2014」(台北市美術館、2016)内のトークシリーズ「Conversations. Biennial」、2017年から2018年にかけて、台北現代美術館で「Curating History/ Histories of Curating in Asia I & II」などを企画し、台新芸術賞の20年史を振り返る研究も手がけてきた。2007年の第1回から20年の節目に当たり、その歴史を振り返るとともに未来を見据える内容が求められるアジアン・アート・ビエンナーレ2026を迎えるにあたり、ルーの抜擢は順当な人選と言える。

 

LU Pei-Y, Curator, Courtesy of National Taiwan Museum of Fine Arts

 

キュレーターのルーは、アジアン・アート・ビエンナーレ2026のテーマを、台湾花蓮を中心に居住する「原住民(イェンズーミン)」のタロコのタロコ語、マンダリン[北京語]、英語の3言語で記された「Mrahul Tminun・共織・Co-Weaving」に決定。タロコ語で「トゥミヌン」は「織り」、「ムラフル」は「群衆」「集まり」を意味し、タロコの女性たちが広場で一緒に織物をする日常的な営みを着想源に、地域横断的な「Mrahul Tminun・共織・Co-Weaving」の可能性を重視し、集団性、協働、共同体、相互扶助に基づく実践を通して、現代美術の主流から見過ごされたり取り残されてきた問題、特に社会、歴史的に周縁化されてきた女性や先住民、クィアの人々の声や視点が、どのように新たな認識をもたらし、複雑に絡み合った現実の中で埋もれがちな歴史をどのように顕在化するかに焦点を当てる。

出展作家は、アーティスト・コレクティブやオルタナティブな活動を行なうアートスペース、コミュニティとの協働に取り組むアーティストなど、30組以上に及ぶ予定で、新作の数よりも活動の継続性に重点を置いた構成となる。第一弾として発表された参加アーティストのひとり、タロコにルーツを持つ花蓮出身のラバイ・イヨン[林介文]の協働的なアプローチは、本ビエンナーレのテーマの着想源にもなっている。ビエンナーレでは、国立台湾美術館のロビーに新作を含む作品群を展開予定。インドネシア、ボゴール出身のメイタ・メイリタも協働的なアプローチで知られる。本ビエンナーレでは、花蓮の新社に滞在し、クバランの高齢女性たちと協働制作した織物の発表を予定。また、ジャカルタを拠点に活動するアーティスト・コレクティブ、ゲゲルボヨは、相互扶助の一形態「ゴトン・ヨロン」の精神に基づきながら、戦時中の語りの断片を集め、トラウマのモニュメントを構築するプロジェクトに取り組んでいる。そのほか、今回発表された出展作家は以下の通り。

 

Labay Eyong, Weaving Ocean (2023) Courtesy of the artist

 

アジアン・アート・ビエンナーレ2026
「Mrahul Tminun・共織・Co-Weaving」

2026年11月7日(土)-2027年2月28日(日)
https://asianartbiennial.ntmofa.gov.tw/2026/
国立台湾美術館、台中
キュレーション:ルー・ペイイー[呂佩怡](Lu Pei-yi)

 

参加アーティスト
チトラ・サスミタ|Citra Sasmita
ゲゲルボヨ|Gegerboyo
グッスクル|Gudskul
Hylozoic/Desires|Hylozoic/Desires
メイタ・メイリタ|Meita Meilita
呉夏枝|OH Haji
ウーマニフェスト|Womanifesto
山中suplex|Yamanaka Suplex
リー・カイ・チュン[李繼忠]&シュン・チュン[沈軍]|Lee Jih-jong & Shen Jun
ラバイ・イヨン[林介文]|Labay Eyong

 

Meita MEILITA, Wanai Saiji: the shape of being (2025) courtesy of the artist. Photo: Wen-Ling Lin / Hong-Gah Museum.
GEGERBOYO, Eroded Borders (2025) Installation view at Elleboogkerk, the Netherlands, 2025. Courtesy of the artist.
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