
ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着
2025年10月11日(土)–2026年1月12日(月)
アーティゾン美術館
https://www.artizon.museum/
開館時間:10:00–18:00(金曜は20:00まで)※入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、10/13、11/3、11/24、1/12は開館)、10/14、11/4、11/25、年末年始(12/28–1/3)
展覧会担当:内海潤也(石橋財団アーティゾン美術館学芸員)、杉本渚(石橋財団アーティゾン美術館学芸員)
展覧会URL:https://www.artizon.museum/exhibition_sp/js_yamashiro_shiga/
アーティゾン美術館では、石橋財団コレクションと現代のアーティストとの共演により、美術の新たな可能性を探る「ジャム・セッション」の第6弾として、沖縄と東北という異なる土地に根ざし、歴史や記憶に向き合ってきた山城知佳子と志賀理江子を迎えた「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着」を開催する。
本展タイトルの「漂着」は、偶然性と必然性、外部からの流入と内部の応答という二重の意味を含み、そこには沖縄と東北、それぞれの地に自らを置き、土地に根差した歴史や人々の営みを基にしながら、創作を通して離れた場所や他者の記憶との新たな接続を生み出し続けてきたふたりの作家の軌跡が重ね合わされている。山城と志賀はそれぞれ本展のための新作を制作、石橋財団コレクションから独自の視点で選定した作品とともに、記憶、災害、移動、再生といったテーマを展開。展覧会の空間全体が、ひとつの「漂着地」として機能し、時間、場所、身体、記憶が交錯し、観る者の感覚と記憶にも波紋を広げるような体験を提供する。



山城知佳子(1976年沖縄県生まれ)は、写真、ビデオ、パフォーマンスを駆使し、沖縄の歴史、政治、文化を視覚的に探求している。近年は、沖縄の問題をそこに留まらない普遍的な命題として捉え、東アジア地域の俯瞰された歴史や人々を題材に、アイデンティティ、生と死の境界、他者の記憶や経験の継承をテーマに制作・思考を続けている。近年の主な個展に、「Song of the Land」(グルベンキアン・モダンアートセンター、リスボン、2024–2025)、「ベラウの花」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、香川、2023)、「リフレーミング」(東京都写真美術館、2021)、「Chinbin Western」(ダンディー・コンテンポラリー・アーツ、イギリス、2021)など。
本展のために制作した新作《Recalling(s)》(2025)は、沖縄、パラオ、東京大空襲の記憶を映像で結び、語りや歌、祈りを交錯させて歴史の複層性を、映像インスタレーションとして編成。バラック(即席のテント小屋)を舞台に、人々が集い、知識を共有し、やがて去っていくという構成を通じて、個々の記憶が、土地や時代を超えて共鳴しあう空間を立ち上げる。なお、本作は2026年1月下旬に、那覇文化芸術劇場なはーとの大劇場にて、本展とは異なる形で展示、上演される予定。



志賀理江子(1980年愛知県生まれ)は、2008年に宮城県に移住し、その地に暮らす人々と出会いながら、人間社会と自然の関わり、何代にもわたる記憶といった題材をもとに制作を続ける。2011年の東日本大震災以降、高度経済成長のデジャヴュのような「復興」に圧倒された経験から、人間精神の根源へと遡ることを追求し、さまざまな作品に結実させている。主な個展に「ヒューマン・スプリング」(東京都写真美術館、2019)、「ブラインドデート」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、香川、2017)、「カナリア」(Foam写真美術館、アムステルダム、2013)、「螺旋海岸」(せんだいメディアテーク、2012–2013)など。
志賀は写真表現を土台とした物語を通して、東北、三陸世界における海から丘(陸)への物流の変化を「人間の作る道=人間社会のやり方」として捉える。東日本大震災以後の復興開発でもゆらぎ続ける人間精神や社会、コミュニティの内実を、宮城県北部であらゆる意味に自在に使われる「なぬもかぬも」という言葉を起点に進歩史観やエネルギー信仰をあらゆる角度から批評的に捉えつつ、独自の物語によって紡いでいく。本展では、高さ約4メートルにおよぶ写真絵巻を空間全体に展開し、鑑賞者の身体感覚を巻き込む没入的な体験を創出する。なお、新作は2026年(秋冬予定)に、青森県立美術館で開かれる展覧会にて、本展とは異なる形で出品される予定。

関連イベント
土曜講座(全5回)
第1回「アーティスト・トーク 漂着展について」
2025年10月11日(土)14:00–15:30(13:30開場)
講師:山城知佳子、志賀理江子
司会:内海潤也(本展担当学芸員)
会場:アーティゾン美術館 3階レクチャールーム
定員:80名(事前予約制、先着順)
参加費:無料
申込方法:https://application.artizon.museum/lecture/251011/
第2回「著書『地域社会はエネルギーとどう向き合ってきたのか』を軸に」
2025年11月1日(土)14:00–15:30(13:30開場)
講師:茅野恒秀(法政大学社会学部教授)
聞き手:志賀理江子
会場:アーティゾン美術館 3階レクチャールーム
定員:80名(事前予約制、先着順)
参加費:無料
申込方法:https://application.artizon.museum/lecture/251101_1/
第3回「亀谷敏子さん、喜納昌吉さんと集う」
2025年11月1日(土)18:30–20:00(18:00受付開始)
講師:亀谷敏子(語り手)、喜納昌吉(音楽家)
聞き手:山城知佳子
会場:アーティゾン美術館 6階展示室
定員:30名(事前予約制、先着順)
対象:18歳以上
参加費:無料(※当日有効の入場券が必要)
申込方法:https://application.artizon.museum/lecture/251101_2/
第4回「著書『なぜ原爆が悪ではないのか アメリカの核意識』を軸に」
2025年11月22日(土)14:00–15:30(13:30開場)
講師:宮本ゆき(デュポール大学宗教学科教授、デュポール人文学センター長)
聞き手:志賀理江子
会場:アーティゾン美術館 3階レクチャールーム
定員:80名(事前予約制、先着順)
参加費:無料
申込方法:https://application.artizon.museum/lecture/251122/
第5回「パラオ、沖縄、東京、そして…─〈不可視化した世界/忘却した時〉をたぐりよせる─」
2025年12月20日(土)18:30–20:00(18:00受付開始)
講師:森亜紀子(同志社大学〈奄美-沖縄-琉球〉研究センター研究員)
モデレーター:金城さつき(沖縄国際大学非常勤講師)
聞き手:山城知佳子
会場:アーティゾン美術館 6階展示室
定員:30名(事前予約制、先着順)
対象:18歳以上
参加費:無料(※当日有効の入場券が必要)
申込方法:https://application.artizon.museum/lecture/251220/
同時開催
石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 安井曾太郎
2025年10月11日(土)–2026年1月12日(月)
アーティゾン美術館 4階展示室
https://www.artizon.museum/exhibition/detail/590