
フィオナ・タン「Lost Time」
2025年9月12日(金)–10月25日(土)
ワコウ・ワークス・オブ・アート
https://www.wako-art.jp/
開廊時間:11:00–18:00
休廊日:日、月、祝
展覧会URL:https://www.wako-art.jp/exhibitions/fiona-tan-losttime/
ワコウ・ワークス・オブ・アートでは、丹念なリサーチに基づく映像作品やインスタレーションを通じて、時間や記憶や歴史の紡ぐ先を探求してきたアーティスト、フィオナ・タンによる同ギャラリー10度目の個展「Lost Time」を開催する。
フィオナ・タン(1966年インドネシア・プカンバル生まれ)は、1990年代より心象と記憶の関係性、時間、言葉や物語の関係性を探求。既存の写真やフィルム、アーカイブ資料と新たな撮影素材を交差させ多層的な語りを生む作風で知られる。スコットランド系オーストラリア人の母と中国系インドネシア人の父の下に生まれたタンは、幼少期をオーストラリアで過ごし、1988年にオランダに移住。1992年にアムステルダムのヘリット・リートフェルト・アカデミーを卒業し、現在も同地を拠点に活動を続ける。オクウィ・エンヴェゾーがキュレーションを手がけたドクメンタ11(2002)や、第53回ヴェネツィア・ビエンナーレ(2009)におけるオランダ館代表をはじめ、数々の国際展に参加。日本国内での展示機会も多く、美術館における個展も「エリプシス」(金沢21世紀美術館、2013)、「まなざしの詩学」(東京都写真美術館、2014/国立国際美術館、2014-15)、「アセント」(IZU PHOTO MUSEUM、2016)と複数行なわれている。2025年は、アムステルダム国立美術館にて同館初の現代アーティストによるキュレーション展「Fiona Tan: Monomania」(2025年7月4日-9月14日)を実現。同館の所蔵作品や他機関からの出品に新作《Janine’s Room》(2025)を含む自身の作品を交えて展示を構成した。
本展では、西洋におけるユリウス暦からグレゴリオ暦、日本における太陰太陽暦(いわゆる旧暦)から太陽暦(グレゴリオ暦)のような改暦により生じた欠落の期間を、ローマ、アムステルダム、ロンドン、アラスカ、東京、モスクワ、アテネの各都市名とともにサンドブラスト加工によって刻んだ7枚のガラスパネルを天井から吊り下げたインスタレーション《Lost Time》を発表する。同作は、この世界各地で生まれた欠落を視覚化し、色とりどりのガラスパネルのずれと重なりが生み出す揺らぎによって、歴史的空白に備わる奥行きについて想像するよう鑑賞者に働きかける。
「…それよりも奇妙なのは、一部の市民たちが「時間を奪われた」と信じ、暦の改革によって自分たちは本来より早く死ぬことになったと確信していたことだ。詩人フィリップ・ラーキンの言う通り『日々こそが私たちの生の場』なのだ。
もちろん、暦の改革そのものは帳簿上の帳尻合わせにすぎない。手品の手さばきのように、ペンをひと振りすれば日付が消える。それでも、たとえこの時間の喪失が目に見えず、形もなく、実のところ不可能ですらあるとしても、そのような欠落がはらむ詩的な可能性を思うと、私は驚嘆の念に満たされる」(本展会場で配布予定の作家によるテキストから抜粋)
現在、ポーラ美術館で開催中の「ゴッホ・インパクト:生成する情熱」(11月30日まで)、国立新美術館で開催中の「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010」(12月8日まで)に作品を出品。後者の展覧会の関連企画として、9月13日(土)に、森村泰昌、風間サチコ、西京人(小沢剛、ギムホンソック)とともにアーティスト・トークに登壇する。
関連イベント
アーティストレセプション
2025年9月12日(金)17:00–19:00
会場:ワコウ・ワークス・オブ・アート
関連展示
ゴッホ・インパクト:生成する情熱
2025年5月31日(土)–11月30日(日)
ポーラ美術館
https://www.polamuseum.or.jp/exhibition/2025053101/
時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010
2025年9月3日(水)–12月8日(月)
国立新美術館
https://www.nact.jp/exhibition_special/2025/JCAW/
展覧会ホームページ:https://art.nikkei.com/prismofthereal/