戦後80年企画 大和楓個展「シッティング・イン・ザ・タイム」@ 立命館大学国際平和ミュージアム

 

戦後80年企画 大和楓個展「シッティング・イン・ザ・タイム」
2025年8月19日(火)-8月30日(土)
立命館大学国際平和ミュージアム 1階企画展示室(京都市北区等持院北町56-1)
https://rwp-museum.jp/
開館時間:9:30–16:30 入館は閉館30分前まで
休館日:日
キュレーター:長谷川新
展覧会URL:https://rwp-museum.jp/special/20250819_01/

 

立命館大学国際平和ミュージアムでは、個々の身体の動きや所作にその人が属する社会のかたちが反映されていると捉え、日常の中に埋もれている些細な身振りからひとつの型を掘り起こすことをテーマに制作している大和楓の初個展「シッティング・イン・ザ・タイム」を開催する。

大和楓(1998年徳島県生まれ)は、阿波踊りの「男踊り」「女踊り」、沖縄の踊りである「カチャーシー」、あるいは辺野古の座り込み抗議を続ける人々が強制的に移動させられる際の体勢など、ある社会集団が繰り返してきた身振りを、その集団に属さない人であっても反復できる彫刻的装置を制作してきた。2024年に金沢美術工芸大学彫刻専攻を卒業し、現在は沖縄県在住。2021年に手書きの新聞「ぽよぽよ新聞」を個人で立ち上げ、毎月執筆、定期発行している。主な展覧会に、「NEW Days」(Art Center NEW、神奈川、2025)、「1998_oid」(LURF GALLERY、東京、2025)、「蠢」(CS-Lab、東京、2024)など。CAF賞2024優秀賞受賞。また、東京都現代美術館 開館30周年記念展「日常のコレオ」(8/23〜11/24)に参加予定。

 

大和楓《Touch the tennis ball》2022年
大和楓《フィット》2025年

 

本展で大和は、沖縄戦で捕虜となり、収容所生活を経験した祖父の痕跡をたどるなかで、沖縄県公文書館の写真資料に写る人々の「姿勢」に注目。捕虜の「身の置き方」に自らの身体をにじり寄せることで、一時的にでもその時代に腰を下ろし、その時代の人々の「生き延びた時間」に迫ろうとする。
キュレーターの長谷川は本展趣旨にて、大和の制作を「態度ではなく姿勢の可能性を、精神よりも肉体の力を信じるという選択である」と説き、「80年後にもその姿勢がとれてしまうということ、これから自分がその姿勢をとる可能性があるということを、迫りくる危機の喧伝ではなく、人間の可能性として読み替える。かつて、確かに、このような姿勢をした人がいた、という印画紙に焼きついた事実を跳板にして、大和は時間に座ろうとする」と寄せている。

会期中には、本ミュージアムに保管されている歴史資料を観察し、描くことで向き合うワークショップを開催予定。戦争にまつわる資料をただ見るのではなく、時間をかけて「観て描く」ことで、それぞれの資料がもつ重層的な意味や歴史の記録としての在り方を体で探る。

 

大和楓《Flip the paper near the chin》2023年 撮影:木奥恵三
大和楓《ぽよぽよ新聞2025年6月号》2025年

 

関連イベント
オープニングレセプション「Sit and drink in Kamogawa River」
2025年8月19日(火)18:30–
会場:鴨川デルタ

時間にすわって形をなぞる・ミュージアム資料の観察ワークショップ
2025年8月30日(土)14:00–(約2時間)
会場:立命館大学国際平和ミュージアム2F ピースコモンズ
定員:7名(先着順、申込不要)
参加費無料
https://rwp-museum.jp/event/20250830_01/

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