旅団エルメッチュ – 玉ノ井哲哉

【タイトル】 旅団エルメッチュ
【アーティスト名】 玉ノ井哲哉
【会期】 2009年9月17日~11月17日

日常の中の非日常。
サーカスとは、私たちを瞬時に非日常の世界へと連れて行ってくれる、そんな体験ではないでしょうか。
今回のウィンドウでは、エルメスの商品がサーカス団を形成し、さまざまな曲芸を披露しています。

2009年のエルメスの年間テーマ「美しき逃避行」を、アーティスト、玉ノ井哲哉は「エルメスサーカス団」として表現しました。サーカスのもつさまざまな要素―スリル、興奮、悲哀、美、非現実、楽しさなど―は、逃避行にも含まれるものであり、それらの要素をサーカスという文脈の中で、楽しくスリリングに視覚化しています。

サーカスを構成するのは、エルメスの商品とさまざまなスイーツ。玉乗りの玉はクリームドーナツ、チョコレートでできたはしご、綱渡りする手袋もあります。スイーツは、「幼少時の味覚の記憶」、「カワイイ」というキーワードを共通項として導き出され、玉ノ井の制作活動のモチーフとなっています。

幼少時の経験、趣向等が無意識に今の自分に反映されていることは数多くあります。無意識なるものが自分を形成し、成人した今でも趣向の根幹を担っているのです。スイーツでできたサーカス団は、カワイくて、楽しくて、子供のころに夢見たお菓子の国が再現されたかのよう。エルメスサーカス団の世界へ、そして子供時代の夢の世界へと道行く人を誘います。

スカーフでできた気球に乗ってやってきたサーカス団「エルメッチュ」。キッチュでカワイイその世界では、商品たちもスリル満点の曲芸をこなします。ウィンドウを見る人は瞬時に、「美しき逃避行」へと誘われて行くのです。

玉ノ井哲哉 (たまのいてつや)
1970年、山梨県生まれ。農協職員、仏具販売会社、クラブのオーナーを経て、2000年より美術デザイン、制作プロデュースを開始。2008年より現代美術作家としての活動を行っている。2009年、MORI YU GALLERY, TOKYOにて個展を開催。

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