ピグメント – 深澤直人


【タイトル】ピグメント
【アーティスト名】深澤直人
【期間】 2008年3月20日(木)~5月20日(火)

色鮮やかな空間に浮かび上がる柔らかなフォルムのシェルとその中に浮かぶ商品たち。プロダクトデザイナー、深澤直人がデザインする今回のウィンドーでは、2008年の年間テーマであるインドを色と形だけで表現しています。

深澤がインドと聞いて真っ先に連想したのは、ピグメント(顔料)。インドの鮮やかな色彩を語る上で欠かせない存在です。「・・・その鮮明な色の粉は、自然の色のようでいてきわめて人工的、かつ伝統的なニュアンスが漂う。それらの色の微妙な組み合わせは、インドらしすぎて他のものをイメージできない。これらの色は光を反射しないからこそ、なおさらに色を感じる」。

光を反射することなく存在する素のままのピグメントの色。強烈な色と色の組み合わせによって「インドの色」を表現するために用いられたのは、曲線だけで構成されたシェル。色すらも反射することのないよう、外側は背景と同色、内側は別の鮮やかな色で覆われ、色と色が直にぶつかり合います。黄色い空間に浮かび上がるこのシェルは、その中に透明人間のように浮かぶ洋服を包み込んでいます。

色と色のコントラスト、強烈な色と柔らかなフォルムのコントラストは、立体的なのに平面的、奥行きがあるのにフラット、という不思議な視覚効果をもたらします。有機的なシェルのフォルム、後ろからシェルを浮かび上がらせる照明など、ディテールにいたるまで計算された空間構成により、独特の浮遊感が生み出されています。

強烈な色のコントラストから生まれた浮遊感漂う空間と、そこに浮遊する商品たち。この不思議な調和こそ、「眩惑のインド」を表現しているのかもしれません。

デザイナー:深澤 直人
プロダクトデザイナー、1956年日本/山梨県生まれ。1980年多摩美術大学プロダクトデザイン科卒業。2003年 Naoto Fukasawa Design設立。ヨーロッパを始め、国内外の大手メーカーとのプロダクトを多数手がける。「MUJI」壁掛け式CDプレーヤー、「±0」加湿器、「au/KDDI」INFOBAR, neonはニューヨークMOMA永久収蔵品となる。2006年Jasper Morrisonとともに「Super Normal」を設立。2007年 英国王室芸術協会よりロイヤルデザイナー・フォー・インダストリー(Hon RDI)の称号を授与される。米国IDEA金賞、ドイツif賞金賞、英国D&AD金賞、毎日デザイン賞など受賞歴は50賞を超える。

Copyrighted Image