探景 – 紺泉

【タイトル】探景
【アーティスト名】紺泉
【期間】 2002年10月31日~2002年12月17日

クリスマスに引き続き、紺泉が手がける第2幕は、新年に向けてのウィンドーです。日本で新年の色といえばピュアな「白」。……ということで、今回は白一色で構成されたエレガントなシーンが展開されました。
年末年始にかけてのウィンドーであったため、作家は2003年のエルメス年間テーマ「地中海」も意識しています。作家は「地中海には洞窟がたくさんある」というイメージをもとに、洞窟のフォルムをデザインしました。確かに地中海の島々には、鍾乳洞のようなものが無数に見られます。
洞窟のフォルムに下がった細いパネルには、春先を意識して、雪柳と、当シーズンの新作であるチェーン型の長いネックレスを描きました。被写体の一部のみ、上手に「間」をとりながら描く手法。そしてオブジェや商品のインスタレーションにおける空間の取り方。それらの方法には、何かしら日本らしい香りがするからなのか、自然と親しみが湧いてきます。
飾られたプレタポルテはメンズもレディースもソワレで統一。正面左ではメンズの靴の裏をわざと見せることで、オレンジ色の鮮烈な印象を強調しています。
第1幕に引き続き、作家の描く商品の絵と、その絵から飛び出した商品との共存で構成されたウィンドー。「手」でつくられるエルメス職人たちの商品と、「手」で描かれた彼女の作品が、絶妙に呼応しながらテーマを表現しています。
透明感がありながらも、温かく柔らかな光を放つようなシーンの展開に、新年の始まりが感じられます。

紺泉(こん・いずみ)
1977年東京生まれのアーティスト。雑誌などのページから「描きたい」ものを選び、綿布を貼った箱状のパネルにアクリル絵具で描く。細密さとラメを起用した装飾性を、日本的な画面構成で行う独自のスタイルを確立している。

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