ジッパー - グルーヴィジョンズ


【タイトル】ジッパー
【アーティスト】グルーヴィジョンズ(Groovisions)
【期間】2001年10月23日~12月6日  

銀座にメゾンエルメスが誕生して4ヶ月経ちました。オープニングを飾ったレイラ・マンシャリ(パリ本店のWD担当)ウィンドーから、イメージを一転させています。今回は日本のデザイングループGroovisionsの手によって前回と全く異なる観点からエルメスを表現していきます。
今回はエルメスの「技」の一つである要素と要素を結びつけるノウハウを表現しています。その象徴として、「ジッパー」を全てのウィンドーにメインモチーフとして見せています。それは、工業用でしかなかったジッパーを、日常の道具や服飾に関係付けた初めての会社であるという歴史があるからです。
その工業用ジッパーが応用されたエスプリの背景には、機能性を重視しただけではなく当時の最新テクノロジーを生かす革新性があるからだと作家は考えました。又伝統的素材と新技術を融合する技、その技を美に変換する魔法もエルメスにはあるのです。
エルメス皮革職人と一緒に作り出したこのウィンドーにはジッパーという象徴だけではなく、職人技術が隠れています。それはプレタが掛けられているトルソーを見るとお分かりになるでしょう。ハンガー部の曲線を革が皺一つ無く貼られている仕上げは大変美しいものです。そのほかにもキューブ型のオブジェや各小窓にあるジッパー付きの革のカーテンにもその技術を見る事ができます。
正面のウィンドー背景の世界地図は、伝統と確信、自然と人工、東洋と西洋といった、世界の多種多様な人の営みや文化を暗示させています。その対極にある要素同士を結合させる媒介として巨大なジッパーが現れているのです。
全体のトーンはエルメスのオレンジで分りやすく楽しい感じに仕上がっています。Groovisionsの得意とするグラフィカルな場面に商品が入り込んで、少しポップでありながらエレガンスも忘れないウィンドーの展開です。

グラフィックを中心に手がけるデザイナーグループであるグルーヴィジョンズは93年に京都で設立。97年に東京に事務所を移動。タレント「チャッピー」は代表作の一つですが、アートワークやアートディレクションも手がけています。デザインの枠を超えての活動は幅広くまた海外でも活躍しています。例えばイームズデザイン展(東京)のアートディレクション、SuperFlat展(ロサンジェルス)やJAM展(ロンドン)への参加など。

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