(c) Mircea Cantor, 2018
会期: 2018 年4 月25 日(水)~7 月22 日(日)
月~土曜11:00~20:00 (最終入場19:30)
日曜 11:00~19:00(最終入場18:30)
休館日: 不定休(エルメス銀座店の営業時間に準ずる)
入場料: 無料
会場: 銀座メゾンエルメスフォーラム
(中央区銀座5-4-1 8 階 TEL: 03-3569-3300)
主催: エルメス財団
機材協力: キヤノンマーケティングジャパン株式会社
後援: 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
会場への入口について
下記の日程において、会場への入口を変更させていただきます。
2018年6月1日 [金] ~ 会期終了まで
銀座メゾンエルメス ソニー通り側入口のエレベーターより8階会場へご案内いたします。
(店舗内改装のため)
お客様にはご不便をおかけ致しますが、ご理解、ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
銀座メゾンエルメスフォーラムは、パリを拠点に制作を続けるアーティスト、ミルチャ・カントルの展覧会を開催いたします。1977 年、ルーマニアに生まれたカントルは、私たちが生きる世界の複雑さや不確かさを、透明な距離や余白をもたらす独特の詩的な表現によって浮かび上がらせます。日本では、ヨコハマトリエンナーレ2011 やいちはらアート×ミックス2014 等へ参加したほか、ポンピドゥー・センター(2012 年、マルセル・デュシャン賞受賞展)、ニュー
ヨーク・映像美術館(2012 年)、チューリヒ美術館(2009 年)等でも個展を開催しています。
カントルは2005 年に発表した映像作品《Deeparture》で、真っ白なギャラリー空間に1 対の鹿と狼を放ち、自然から隔絶された獣たちの不自然で危うい緊張関係を観察することで話題を呼びました。日本でも紹介された映像作品《Tracking Happiness》(2009 年)では、純白のドレスをまとった美しい少女たちが、ゆったりとしたリズムで足元の白い砂を箒で払ってゆく儀式のような動作を繰り返します。指紋によって描かれた有刺鉄線を思わせるドローイング《Chaplet》(2007 年)や空き缶で作られたバラ窓のような彫刻《Rosace》(2007 年)など、簡素な素材やミニマルな身振りから、ミクロとマクロのレベルで行き来するさまざまな問いを浮かび上がらせ、私たちの身体へ深く刻まれるような体験をもたらします。
日本での初個展となる「あなたの存在に対する形容詞」では、銀座メゾンエルメスのガラスブロックの「透明性」に着想を得た新作をご紹介します。人々が透明なプラカードを持って行進する映像作品は、東京のさまざまなロケーションで撮影されました。2003 年にアルバニアで撮影された《The landscape is changing》に連なる本作は、「透明な主張」を掲げる群集が、東京の日常のなかに詩的な瞬間を呼び起こしていきます。また、数十本ものアルミニウムの鐘とガラスの屏風を組み合わせたインスタレーションでは、静寂や、響きあう鐘の音が、一陣の風のように目には見えない記憶や感情を呼び起こし、私たちの内に透明な波動を生み出します。
私たちの存在は、規則や慣習、権力など、透明なものの力によって無意識のうちに縛られています。ミルチャ・カントルの作品はここで、「あなた」を形容する言葉についてのシンプルな問いを通じて、不確かな世界のなかで個人の存在を成り立たせる地平についての問いを投げかけます。
ミルチャ・カントル Mircea Cantor
1977年、ルーマニア生まれ。パリ在住。日常の世界がいかに複雑で不確かなものかを控えめな身振りで気づかせる、写真や彫刻、映像、インスタレーションなどを手がける。主な個展に「Your Ruins Are My Flag」(ジュリアーニ財団、ローマ、2017–2018年)、「Tracking Happiness」(チューリッヒ美術館、2009年)など。日本ではヨコハマトリエンナーレ2011をはじめ、「幸福はぼくを見つけてくれるかな?」(東京オペラシティ アートギャラリー、2014年)などにも参加している。2011年のマルセル・デュシャン賞ほか受賞多数。作品はポンピドゥー・センターやニューヨーク近代美術館などに収蔵されている。