slide show – ジャスパー・モリソン

【タイトル】 slide show
【アーティスト名】 ジャスパー・モリソン
【期間】 2006年5月18日~7月18日

「l’Air de Paris(レール・ドゥ・パリ)スライドショー」というタイトルがつけられたウィンドーです。シーンはパリのアパルトマンの一室。窓枠やコートハンガーは、一般的にありそうなもの。床にはデザイナー自身が描いたフローリングのパターンも印刷され、まさにパリの典型的な部屋を銀座にもち運んだように映るでしょう。その空間でスライドを見る人々。一人はカルーセル式の映写機を使い、何やら説明をしている様子。どうやら彼らは、パリのair(雰囲気)についてディスカッションしているのです。「なぜパリはパリらしくあり、その表情はどこから出てくるのか?」……彼らが見ている77枚のスライドは、すべてパリの街角の写真です。
そのスライドの1コマ1コマは、インダストリアルデザイナーである彼特有の視点で撮られた場面。観光客が訪れる建築物などの華やかなイメージではなく、街角の工事現場や、オフィスの窓、道端に止まっているトラックに積まれている荷物など、すべてはパリの住人なら気が付く日常的なものばかりです。また、各小窓の背景写真は、パリの街角にある店のウィンドーを撮ったもの。ここでもごく日常的なパリが表現されています。手前に置かれた商品は、まるで背景の店のウィンドーから出てきたように飾られており、その連動性も楽しめる演出となっています。
ウィンドーの舞台だけではなく、実際のパリの写真も見せることで、パリの空気をストレートに伝えることができたのではないでしょうか。何しろ「百聞は一見にしかず」ですから。

Jasper Morrison(ジャスパー・モリソン)
1959年ロンドン生まれのデザイナー。王立美術大学(RCA)
を出て94年に事務所を設立。アレッシ、カッペリーニ、フロス、ヴィトラ、ロウェンタなどのプロダクトを手がける。
2004年からはサムスンや無印良品、オリベッティなどのコンサルタント業務も同時に行っている。

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