wallpaper – ジャスパー・モリソン

【タイトル】wallpaper
【アーティスト名】ジャスパー・モリソン
【期間】 2003年9月25日~11月18日

 
プロダクトデザイナーとして世界の頂点で活躍するジャスパー・モリソン。彼がつくりあげたのは、「商品をそのまま見せる」という、いわゆる伝統的なウィンドーでした。シンプルでありながら計算しつくされたラインの什器に、美しく商品が展示されています。
しかしその背後には、エルメスの歴史という奥深いストーリーが存在するのです。メゾンエルメス5Fには、『アルバム』と呼ばれる所蔵コレクションがありますが、そのコレクションから、作家がインスピレーションを受けた作品(商品)をピックアップしました。それをグラフィカルに表現した壁紙をつくりました。正面右にはレディース商品に合うようブレスレットや鐘の形をした鐙などを、正面左には拍車などの男性的なイメージのものを選び、平面で表現しています。何世紀も前に存在した「もの」を背景に、エルメスの今シーズンの商品が飾られるという対比。その手法によって見る人は、エルメスの「考古学」を学んだような気分にさえなります。
小窓の背景写真では選ばれた商品にキャプションを付けてあるため、ミュージアムピースのように見えるでしょう。
「商品をいかにきちんと見せるか」にこだわり、「エレガントで良いウィンドーとは?」という自身への問いからできたものが、柔らかい光源の下で展開されています。オフホワイトのツールにフラットに飾られたプレタと、そっと置かれた数少ない商品。機能性を重視して創作活動を行う彼のやり方が、このウィンドーにも表れているようです。

Jasper Morrison(ジャスパー・モリソン)
1959年ロンドン生まれのデザイナー。王立美術大学(RCA)を出て94年に事務所を設立。マジス、ヴィトラ、カッペリーニなどのプロダクトをデザインし、世界的に活動している。ハノーヴァ万博2000では、トラムのデザインでiF賞を受賞。

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