題名なし – 小粥丈晴

【タイトル】題名なし
【アーティスト名】小粥丈晴
【期間】2004年11月18日~2005年1月11日

2004年のエルメス年間テーマ「色とファンタジー」。その最後を飾ったのは、無数の角砂糖でつくられた純白の光景。それはまさしくファンタジーに満ちた世界で、このテーマの締めくくりに相応しいウィンドーの展開となりました。担当したのはアーティストの小粥丈晴です。
クリスマスシーズンの銀座に出現した、セメント袋6袋分のグラニュー糖と約2万個の角砂糖でつくられた銀世界。ウィンドーの床上に形づくられた、波のような自然な模様。本物の砂糖を使用することで、適度な重量感とキラキラ輝く美しい質感が、ガラス越しでも充分伝わってくるのです。
角砂糖のオブジェの上に天井から吊られているのは、クリスタルとビーズでできたチェーンで、その数は全部で6000個近くに及びます。無数のチェーンは全体で見ると、光の流れのようなラインを形成しています。これはオーロラをイメージしたもので、それが砂糖のうえに映し出すクリスタルの影が、ウィンドー全体にポエティックできらびやかな雰囲気を加えています。そのラインの出し方だけではなく、それぞれの小窓に置かれた異なる角砂糖のオブジェの形を見ても、建築的な感覚をもつ小粥らしい一面が伺えます。
白というピュアな色の中に商品が装飾されることで、エルメス商品の色調の豊かさと、それぞれの色の深みを強調する世界が広がります。幻想的なこの世界の中では、時が止まっている様な感覚を覚えるかもしれません。

小粥丈晴(おがい・たけはる)
1969年千葉県生まれのアーティスト。97年から雄川 愛とのユニットで活動。02年「エモーショナル・サイト」(佐賀町食糧ビル)、「Private Luxury」(萬野美術館)などに参加。04年、メゾンエルメス8Fフォーラムで小粥丈晴として初の個展「泉への道」を開催。

Copyrighted Image