【タイトル】 北極でピクニック
【アーティスト名】 ジョン・ケスラー
【会期】 2003年11月20日～ 2004年1月13日
2002年に続き、03年に行ったジョン・ケスラーとのコラボレーションウィンドーです。雪山の景色をバックに、本物のようなに見えるトナカイの母子が佇む姿。まるでアメリカの自然史博物館にあるジオラマのような世界が広がっています。「地中海」をテーマにした最後のウィンドーは、地中海とは程遠いに直接関連のない、北極という場所が舞台になりました。なぜでしょう？
サンタクロースに仕えるトナカイの母子は、誰かがピクニックしていたと思われるらしき場所で不思議そうな顔をしています。人はどこへに行ってしまったのでしょう？ 実を言うとカップルが雪上でピクニックをしていたのですが、寒さに耐え切れず、南フランスを目指して旅立っていなくなってしまったのです。それを示すように正面左ウィンドーの毛皮のコートが掛かったポストには、コートダジュールの街の名前が記されています。ニース、カンヌ、サントロペ。２人はその方向に移動したに違いありません。
アーティストのアシスタントが描いた雪山をバックに、ジュエリーやスカーフでオシャレしたトナカイが２頭、。とてもクリスマスらしいウィンドーの展開です。雪上に広げられたマットには、トランプやシャンパンクーラーなどが置かれ、２人が楽しく遊んでいた様子が窺えます。でもフランスの地図やコンパス付き時計などからも置かれており、あまりの寒さに耐えられず、地中海に向かう準備をしていたこともわかるのです。
雪上でのピクニック。馬の鞍をつけて佇む母鹿の姿。北極に南仏の地名の方向を示すポスト。ユーモアが得意なジョン・ケスラーらしい、茶目っ気たっぷりの演出と言えます。
ジョン・ケスラー（Jon Kessler）
1957年NY生まれ。アーティスト兼コロンビア大学ビジュアルアート部学長。作品はNY近代美術館、シカゴ現代美術館など多くの美術館に収蔵されており、日本では92年になんばCity Hall(大阪)やスパイラル・ガーデン(東京)で個展を開催。