water vein 水脈 – 名和晃平

【タイトル】 water vein 水脈
【アーティスト名】 名和晃平
【期間】 2005年1月13日~3月15日

2005年のエルメス年間テーマは「川の流れとともに」。その最初のウィンドーを手がけたのは、アーティストの名和晃平です。ストレートに「川」を表現した正面右のウィンドーと、「水のしずく」を見せる正面左、エントランスを挟んで非対称なシーンが展開されています。川の水面から水蒸気があがって雲となり、やがて雨となって大地に浸透し、川に戻る……。そんな大きな水の循環を、ウインドー全体で軽やかに表現しているのです。
アクリル板にとても繊細なタッチで描かれた「川」。固形の接着剤を、接着用の道具であるグルーガンを使って溶かし、液状に変化させて絵の具のように使いました。長時間にわたる緻密な作業により製作されたもので、有機的に見える川の流れが特徴的です。その中にマリン色がポイントの05年春夏コレクションのプレタを装ったトルソーが3体、静かに佇んでいます。
「水のしずく」も、同じくグルーガンで一粒一粒丹念につくりあげたディスク型のピースを、つなげて棒状にしたもの。中に細い蛍光灯が仕組まれており、しずくがぼんやり浮かびあがる幻想的な風景を繰り広げています。鍾乳洞のようにも見えるしずくの所々に、同じくブルー色中心の商品が飾られた清冽な光景。小窓では、特別なシートを使用することで、普通に置いたものが立ち上がったり2つに見えたりする効果が生じ、商品が虚像化されたような感じを与えています。
静と動が同時に表現された05年初回のウィンドー。1月の街並みに静かに溶け込む、印象的なシーンが展開されました。

名和晃平(なわ・こうへい)
1975年大阪生まれのアーティスト。京都市立芸術大学美術科で彫刻を専攻。03年同大学院で博士号取得後、「Pixcell」などの個展を開催。05年には愛知万博にも出品した。京都府美術工芸新鋭選抜展の最優秀賞など、受賞歴も多数。

Copyrighted Image