black crystal cave – パトリシア・ウルキオラ

【タイトル】 black crystal cave
【アーティスト名】 パトリシア・ウルキオラ
【期間】 2005年9月22日~11月15日

2005年のエルメス年間テーマ「川の流れとともに」にインスパイアされ、想像上の洞窟の風景をつくりだしたのは、インダストリアルデザイナーのパトリシア・ウルキオラです。「目覚めた瞬間から頭に残る夢の印象のように演出したかった」と話す彼女が表現したのは、「黒いクリスタルでできた洞窟に流れる川」でした。
艶のある黒いアクリル板を使って、ウィンドーの原型であるボックス状の長方体から変形。凹凸のある壁をつくって、又同素材の床で洞窟を表現しています。そこに映りこむのはグリーン・ブルーの川。エルメスの象徴であるボルデュックが、川の流れに見立てられています。その「川」はどっしりとした機械ですが、まるで19世紀初頭に起きた産業革命の時代をイメージさせる、単純で素朴なベルトコンベアのような作り。直径120mmと70mmの2タイプのシリンダーが組み合わされた装置の上にリボンの川が流れ、その速さが異なるのもユニークな特徴です。
エルメスの創業は1837年。馬具の製造会社としてスタートしましたが、そこから現在に至るまで、川のようにゆるやかに流れながら発展を続けています。長い時間をかけて多様な商品を生み出してきたなかで、その都度流行や時代を考慮してきただけではなく、職人技や伝統を重んじるスピリットを同時にもち続けてきました。それはエルメスの大切な要素。その事実を表現するため、今回は馬具、中でも鞍という原点・源流を見つめるウィンドーをつくりあげたのです。

Patricia Urquiola(パトリシア・ウルキオラ)
1961年スペイン生まれのインダストリアルデザイナー。90年から2年間、ミラノ工科大学でアッキーレ・カスティリオーニの助手を務める。2001年に独立、ミラノをベースにプロダクトから内装、展覧会スペースなど多岐にわたる活動を展開。

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