Washing Hermes – マチュー・メルシエ


【タイトル】 Washing Hermes
【アーティスト名】 マチュー・メルシエ
【期間】 2007年3月29日~5月15日

新緑のこの時期、ウィンドーでは「さあ、踊りの輪に!」という今年のエルメスのテーマを面白いかたちで表現しています。でも、踊るのは人ではなくスカーフです。しかも、洗濯機の中で。

スカーフはしなやかで軽やかなアイテムであると同時に、エルメスにとっても象徴的な商品です。そのようなわけでダンスの「動き」を表現するのにぴったりなのです。巨大な洗濯機の中で、様々な表情を見せるスカーフは、ともすると私たちを催眠に誘い、時を忘れさせてしまいます。また、その決まりの無い「動き」に引き込まれていく感覚が、一方で「連続の美しさ」を思い起させてくれるウィンドーとなっているのです。

フランス人アーティスト、マチュー・メルシエはこのプロジェクトに取り組むにあたって、ミニマルで無菌な印象のメゾンエルメスの建物を意識したといいます。またプランの背景にはランドリースペースによく見られる正方形タイルの内壁と、メゾンエルメスの外壁のガラスブロックが似ていることに着目し、中にある要素が外にあるという、彼らしい、規則にとらわれない発想も展開されています。

商品も含め、「白」の美しさを強調した今回のウィンドー。改めてエルメス商品のシンプルな美しさを発見していただけることでしょう。

回り続ける洗濯機はまるで都会の喧噪のようです。めまぐるしい交通やあわただしい通勤、ここかしこで繰り広げられている終わらない仕事。しかし、実は立ち止まってウィンドーを見ている瞬間だけは、その喧噪を忘れてしまうのです……

Mathieu Mercier (マチュー・メルシエ)
1970年フランス生まれ。5月までヴィラ九条山(京都)に滞在。
メルシエの作品を扱うギャラリーはパリ、NYをはじめ世界6都市にわたる。造形専門のアーティストではあるが、展覧会やギャラリーのキュレーションも行っている。

Copyrighted Image