コズミックダンス – 鬼頭健吾


【タイトル】コズミックダンス
【アーティスト名】鬼頭健吾
【期間】 2007年11月22日(木)~2008年1月15日(火)

ダンスをテーマにした2007年のフィナーレを飾る今回のウィンドーは、アーティスト鬼頭健吾の手によるものです。鮮やかな色、輝くマテリアル、ダイナミックなミラーボール・・・。フィナーレに相応しい華やかさをもつダンスフロアと、そこで生じる人と人との身体の重なり、すれ違い、交錯が、ウィンドーを超えて我々の日常へと介入してくる様がウィンドーで表現されます。

人が金色の光の中に消え去った後、おぼろげな輪郭だけが軌跡として残り、ゆらゆらと戯れています。その線と線が重なることで動きが生まれ、有機的で不定形な別の生命体がゆっくりと立ち現れてきます。線が重なり、もつれ、解け合う様は、複数の身体が互いの軌跡を残しつつ、他者と戯れながら世界と関わって行く様を思わせます。それは、線による不定形なダンスであるといえます。背景に埋め込まれたミラーは、鑑賞者の視線を跳ね返すと同時に、ウィンドーガラスに鏡の効果を生み、鑑賞者が線と戯れているようにも見えます。

菱形は、正方形という安定した正位置からずらされたとき、シンメトリーのバランスを保ちつつ、浮遊するようなアンバランスを生み出します。菱形によってつくられた壁と床は、荷重が分散され、無限大の広がりを感じさせると同時に、そのパーツをひとつでも失えば、たちまちにして世界が崩壊してしまうような危うい構造をも暗示しています。そのような緊張と浮遊を背景に、人の軌跡が戯れているのです。

今回のウィンドーでは、ウィンドーの外の鑑賞者をも取り込み、線と人の像が絡まることにより不定形なダンスを誘発する場を表現しています。それはまた、ウィンドーと外部の境界をあいまいにしつつ、街頭へと拡散し、他者と自身との境界も融解させていくプリミティブなコミュニケーションともいえるでしょう。
   

アーティスト:鬼頭健吾
1977年名古屋生まれ。名古屋芸術大学で学び、京都市立芸術大学大学院で油絵を専攻。メディアや写真、インスタレーションも手がけるなど、幅広い活動を展開している。

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