記憶 – 吉岡徳仁


【タイトル】 記憶
【アーティスト名】吉岡徳仁
【期間】 2006年9月21日~11月14日

テーマ「L’air de Paris」を日本人デザイナー吉岡徳仁が彼らしい詩的な解釈で演出しました。今回は「空気」という直接的なものではなく「記憶」という人間の機能を介して表現したウィンドーです。それは、脳内の複雑なメカニズムを忠実に形にしたのではなく、感覚的に捉えた「記憶」のかたちで見せています。

「記憶されていく」という過程は、何だか無数の「からの容器」に一つ一つ要素を詰め込んでいくような感覚ではありませんか?そのイメージから、吉岡は約30万本の透明度の高いストローを使用しました。プラスチックのストローの機能の全ては空洞にあり、その軽さといい、シンプルでピュアなイメージは記憶するための一つ一つの容器を表現するのにぴったり。今まで見た事が無い、無数のストローを積み重ねてつくる挑戦的なオブジェに、パリで生まれている商品を、時に飛び出したように、また埋まっているように飾ります。人それぞれが記憶しているパリの一瞬を象徴しています。旅をすると、視覚だけではなく、嗅覚や触覚など全ての感覚を使って、その場所の雰囲気を覚えていきます。そして旅が終っても一つ一つを記憶の容器から引き出しては何かのきっかけで、繰り返し思い起こすことでしょう。

今回のウィンドーは商品を1度替えます。いずれも商品量は少なく、一点を大切に表現します。メゾンエルメスのリニューアルのタイミングには、l’air de Ginza のスカーフも展示する予定。無数にあるストローのオブジェを様々な形に変えるので、2回とも表情が異なる詩的な世界が見られます。

吉岡徳仁(よしおか・とくじん)
1967年生まれ。86年桑沢デザイン研究所卒業。2000年に吉岡徳仁デザイン事務所を設立。
2005年ミラノ・サローネではまるでパンを焼くように作った独創的な「Pane」(椅子)を発表、
また合計700kmに及ぶ透明のファイバーを使用した「Lexus」の会場構成でも注目を浴びる。

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