hands and feet – ジョン・ケスラー

【タイトル】 hands and feet
【アーティスト名】ジョン・ケスラー (Jon Kessler)
【会期】2002年8月1日~2002年10月29日

2002年のエルメス年間テーマ「手」から、遊び心いっぱいのウィンドーを仕立てたのは、アーティストのジョン・ケスラー。彼のインスピレーションによって、大人から子供までが十分楽しめる劇場が、銀座に現れました。
まず驚かされるのが、短時間に昇降するカーテン。ドレープたっぷりのカーテンに使われているのは、02年秋冬の新作スカーフ「Sulfure & Press-papiers II」50枚弱。オレンジと黄緑の2色を交互に縫い止めています。
そしてカーテンの向こうはモビールのようなオブジェ。その先端についた手や足は、作家本人と娘の手足から型を起こし、鋳物で製作したものです。小窓の背景となっている写真は、実はその手足をつくった鋳物工場。NY郊外に存在する雰囲気のある古い工場で、写真は作家自身が撮影しました。
正面右に見える女性用ブーツにも注目を。よく見ると靴紐が動いています。モーターで不規則に柔らかく動く紐は、子供たちには昆虫のように見えるかも。モビールに吊るされているのは02年秋冬コレクションが中心。バランスが重要なモビール作品らしく、絶妙な形状を保っています。
私たち観客は、カーテンが完全に開いた瞬間、マットなオレンジと黄緑で囲われた舞台の上に、商品とシルバー色のオブジェとがマッチした、不思議でクールな光景を見ることができます。華やかなスカーフ製カーテンが降りてもなお、その奥でシルバー色の「手」が、商品という主人公を黒子のように支えている姿が、目にとどまっていることでしょう。

Jon Kessler(ジョン・ケスラー)
1957年NY生まれ。アーティスト兼コロンビア大学ビジュアルアート部学長。作品はNY近代美術館、シカゴ現代美術館など多くの美術館に収蔵され、日本では92年になんばCity Hall(大阪)やスパイラル・ガーデン(東京)で個展を開催。

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