air mess – フランク・スキュルティ

【タイトル】air mess
【アーティスト名】 フランク・スキュルティ
【期間】 2006年3月16日~5月16日

「パリの空気を東京に運んで来ました」。そんなテーマを象徴的に見せる、フランク・スキュルティのウィンドー。正面右ウィンドーのバックパネル一面にはパリの時刻、そして正面左には東京の時刻が示されており、右から左のウィンドーへと続く空気の流れを見せています。また、商品の合間に見え隠れするエルメスのロゴも、まるで風に吹かれているかのように変形しています。それは風の通り道でもある左右ウィンドー間に敷かれている、エントランスのマットにまで印刷されています。
作家はこのウィンドーに「Air Mess」というタイトルを付けましたが、その名の通り、色々な商品が風に散らかされたかのような装飾がされています。さらに作家は、「エアー」を、アイデアが出てくるときの軽さの比喩とも捉えています。「draught(ドラフト)」という言葉には「草案」と「通風」という2つの意味がありますが、このウィンドーは両方の意味をもって成立しているのです。アイデアは、時に満ち溢れてきたり消えていったりと、決して秩序正しいものではない……そんな意味も含めて「mess(散らかっている)」という表記になりました。「創造」という頭の中で起こる過程を、目に見える形でウィンドーの中に表現するという挑戦も兼ねているのです。
パリー東京という離れた場所における「時の繋がり」と「空間の繋がり」。そこに重点を置きつつ、エルメス商品に対するコメント(いたずら描き)を散りばめたり、商品を吹き散らかされているように置くなど、リズミカルな表現をしています。彼のアイデアの集大成である、messyな旅へのご招待です。

Franck Scurti(フランク・スキュルティ)
1965年リヨン生まれ、パリ在住。インスタレーション、ビデオ、写真、漫画など多岐に渡った制作活動を行う。日本では2000年の越後妻有トリエンナーレに出展。日常の様々な場面をモチーフにウィットに富んだ作品を制作している。

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