コート・ダジュール – 廣瀬智央

【タイトル】 コート・ダジュール
【アーティスト名】 廣瀬智央
【期間】 2003年7月31日~ 9月23日

「地中海」に「旅行・移動」というサブテーマをプラスした廣瀬智央のウィンドー。そこで表現されたのは海と砂漠の世界です。「地中海」は青い海のイメージがありますが、一方では乾いたエリアも存在します。廣瀬は海そのものだけでなく、周りの地域も含めて「地中海」というテーマを捉えており、その歴史と海が人間に与えた意義を、改めて考えているのです。
時代の変革と共に、馬具から旅行製品など幅広く展開してきたエルメスの歴史。そこに注目し作家が選んだのは、大きめの旅行バッグでした。正面左の「海」を表したウィンドーには、バッグの他、03年秋冬コレクションの帽子やマフラーも置かれています。それらが乗ったガラスの下に並べられたのは、廣瀬の作品であるアクリルキューブ「ビーンズ・コスモス」。これはエルメスウィンドー仕様となっており、中にはサハラ砂漠の砂が入っています。そして正面右は上品な赤味を帯びた400kgの砂で、「サハラ砂漠」を表現しています。3体のトルソーはアクリルのボックスに入れられ、その後ろには砂に埋もれるように飾られた商品が。これら対照的な左右のウィンドーで、WetとDryの両面を一度に味わえるでしょう。
また、小窓のアクリルのキューブに閉じ込められている時計やネックレスなどの商品は、ブルーの照明のなかに浮遊しているように見え、不思議な感覚を呼びおこします。
イタリアに住む廣瀬だからこそ打ち出せた、サハラ砂漠まで広がる地中海のコンセプト。そのもとで、03年秋冬コレクションが、楽しく飾られているのです。

廣瀬智央(ひろせ・さとし)
1963年生まれ。91年にイタリアに渡り、現在もミラノ在住。嗅覚や触覚など感覚に訴える作品や旅をテーマにした作品で知られる。近年はアクリルキューブに豆などを入れ、独特な小宇宙的世界を見せる作品「ビーンズ・コスモス」も。

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