〈特別展〉路上と観察をめぐる表現史—考現学以後


林丈二《勇ましい蔵》1988 ©Joji Hayashi

観察の名手たちと、「つくり手知らず」による、路上のマスターピース。

民家の研究者・建築家であった今和次郎(1888〜1973)は1920年代なかば、後に舞台美術家として活躍する吉田謙吉(1897〜1982)らとともに、東京の街と人々の風俗に注目し、路上における人々の生活、風俗の現状を様々な角度から調査考察する研究を始め、「考現学」と名付けました。それは、1923年の関東大震災をきっかけに人々の生活、創造を見つめ直し、作品として特別視されることのなかった、市井の創造力に注目する新たな視点の獲得と捉えることができます。その後、1986年に結成された赤瀬川原平(1937〜)、藤森照信(1946〜)らによる路上観察学会をはじめ、美術や建築など様々な分野で路上の事物を観察し、記録する多彩な活動が展開されてきました。

本展覧会は、戦前から現代にかけて観察者たちが路上に見出した創作物をあらためて紹介するとともに、様々なアプローチを通して観察/発見という行為が表現として成立する様子に注目します。観察する者と観察される物(者)の双方が、ともに表現とは何か、という重大な問いかけを投げかける、芸術の在り方について考察する展覧会です。

〈参加作家・グループ〉
今和次郎、吉田謙吉、木村荘八、岡本太郎、コンペイトウ、
遺留品研究所、赤瀬川原平、トマソン観測センター、林丈二、
一木努、路上観察学会、大竹伸朗、都築響一、
チーム・メイド・イン・トーキョー(アトリエ・ワン+黒田潤三)、
ログズギャラリー、下道基行 ほか

:::::: 展覧会の詳細は特設ウェブサイトをご覧ください ::::::
https://www.hiroshima-moca.jp/exhibition/rojo/

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会期 2013年1月26日(土)〜4月7日(日)
開館時間 10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日および2月12日(火) ※ただし、2月11日(月・祝)は開館

関連プログラム

●路上観察学会 トークショー
路上観察学会メンバーである藤森照信氏、林丈二氏、南伸坊氏、松田哲夫氏がスライドトークを行います。
日時:2013年1月27日(日)14:00〜16:00
会場:ミュージアムスタジオ
定員:130名(開催当日10:00より受付にて整理券を配布)
※要展覧会チケット(半券可)、開場時間13:30

●下道基行 ワークショップ「見えない風景」
街中を歩いて観察し、人々の生活の痕跡を目印とした“言葉の地図”を作ります。完成した地図を参加者同士で交換し、実際に歩いてみます。
日時:2013年2月10日(日)10:30〜16:00
講師:下道基行
対象:中学生以上
定員:15名
※参加無料、要事前申込、終了時間は予定、昼食は各自で持参いただきます

●大竹伸朗×都築響一 対談
日時:2013年2月16日(土)14:00〜15:30
会場:ミュージアムスタジオ
定員:130名(開催当日10:00より受付にて整理券を配布)
※要展覧会チケット(半券可)、開場時間13:30

●アトリエ・ワン 講演会
日時:2013年3月30日(土)14:00〜15:30
会場:ミュージアムスタジオ
定員:130名(開催当日10:00より受付にて整理券を配布)
※要展覧会チケット(半券可)、開場時間13:30

●ログズギャラリー「農民車」試走会
ログズギャラリーによる本展覧会出品作《農民車》の試走会を行います。
日時:2013年4月7日(日)14:00〜15:30
会場:サービスヤード
※参加無料、申込不要


新井泉男《某々女学校作品展覧会分析》(しらべもの[考現学]展覧会より)1926 工学院大学図書館蔵


都築響一《ハニベ巌窟院》(珍日本紀行)1994 東京都写真美術館蔵 ©Kyoichi Tsuzuki


下道基行《bridge》より 2011 ©Motoyuki Shitamichi

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