イチハラヒロコ+箭内新一「プレイルーム。2011」@ 京都国立近代美術館


イチハラヒロコ+箭内新一「プレイルーム。」(2007) インスタレーション(文字[カッティングシート]、吸盤、円形の畳、積み木ほか) 京都国立近代美術館蔵 撮影:トム・シュヴァーブ、写真提供:京都国立近代美術館

イチハラヒロコ+箭内新一「プレイルーム。2011」
7月26日(火)– 9月11日(日)
京都国立近代美術館1階ロビー
http://www.momak.go.jp/

7月26日から京都国立近代美術館で毎年恒例となっている、イチハラヒロコと箭内新一によるインスタレーション「プレイルーム。」の第5回目の展示が行なわれる。入場無料。

「プレイルーム。」は2007年秋に京都国立近代美術館で実施された「ギャラリー・ラボ2007——鑑賞空間の合意に向けて」のサブプロジェクトとして始まった。「ギャラリー・ラボ2007」では、「鑑賞空間での会話は悪しきものなのだろうか?」「鑑賞空間にとって子供は異物なのだろうか?」「鑑賞空間での社会的ジレンマは調停可能なのだろうか?」といった疑問を探るべく、期間中は同館コレクション・ギャラリーを鑑賞者が積極的に会話をする場とし、子供の来館を歓迎すべく中学生以下の子供を同伴してコレクション・ギャラリーを鑑賞する成人2名の入館料が無料になり、美術館外の団体によって様々な鑑賞実験が行なわれた。

イチハラヒロコと箭内新一の共作「プレイルーム。」はそのサブプロジェクトのひとつであり、美術館という公共空間の有り方について来館者と美術館とが共に考える実験場として、また、子供と大人が自由に過ごすことができる作品として同館1階ロビーに設けられた。片側の壁面には我が子の成長に合わせて考案されたイチハラヒロコの新作の言葉の作品が、そして会場内には箭内新一による吸盤の作品や立体遊具、円形の畳が設置され、託児機能を備えた美術作品として機能した。「ギャラリー・ラボ2007」終了後に「プレイルーム。」のコンセプトは、プロジェクト作品として京都国立近代美術館に購入・収蔵された。以降、毎年秋[注1]に新たな成長を見せつつ展示されており、また、館外では岡山県の成羽町美術館(2008年)と高知県立美術館(2010年)でもその一部が展示されている。

「プレイルーム。」は進化型のプロジェクトであり、毎回新たな要素が付け加えられ、作品内容が変化している。コンセプトとしての「プレイルーム。」の収蔵は、現代の多様な美術作品に対して美術館の収集活動が、現行制度の弾力的な運用によって対応を試みた一例と考えることもできる。


注1 2010年度のみ『マイ・フェイバリット――とある美術の検索目録/所蔵作品から』展の出品作品として展示されたため例外的に春の開催となった。

参考

ギャラリー・ラボ2007——鑑賞空間の合意に向けて
2007年9月22日 – 11月4日
http://www.momak.go.jp/Japanese/pressRoom/2007/galleryLabo2007.html

イチハラヒロコ+箭内新一「プレイルーム。」
2007年9月22日 – 11月4日
http://www.momak.go.jp/Japanese/pressRoom/2007/galleryLabo2007playroom.html

イチハラヒロコ+箭内新一「プレイルーム。2008」
2008年9月23日 – 11月9日
http://www.momak.go.jp/Japanese/news/2008/20080923-1109.html

イチハラヒロコ+箭内新一「プレイルーム。2009」
2009年9月15日 – 10月18日
http://www.momak.go.jp/Japanese/news/2009/20090915-1018.html

マイ・フェイバリット——とある美術の検索目録/所蔵作品から
2010年3月24日 – 5月5日
http://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/2009/378.html

同時開催
『視覚の実験室 モホイ=ナジ/イン・モーション』@ 京都国立近代美術館

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