ドイツ銀行グループ「アーティスト・オブ・ザ・イヤー2017」


Kemang Wa Lehulere “Sleep is for the Gifted” at Lombard Freid Projects, New York, 2013

2016年4月7日、ドイツ銀行グループの「アーティスト・オブ・ザ・イヤー2017」に、南アフリカ共和国出身のケマン・ワ・レフレーラが選出された。

ケマン・ワ・レフレーラは1984年ケープタウン生まれ。2011年にヨハネスブルグのウィットウォーターズランド大学を卒業。現在はヨハネスブルグとケープタウンを拠点に活動している。新しい芸術的視野や物語の形式、政治活動を展開するために、幅広い領域で活動する南アフリカ共和国で活動する新しい世代のアーティストのひとりとして知られている。パフォーマンスや映像作品、チョークドローイングなどさまざまな形式をとる、ワ・レフレーラの広範な調査に基づく作品は、曖昧にされたり、無視されたりして、わずかに残された人種差別や不正行為の痕跡をなぞり返し、個人的な経験と公式の歴史記述の間にある乖離を明らかにする。南アフリカ共和国の黒人アーティストやミュージシャン、文筆家らの歴史を再検討した作品も多く、南アフリカ共和国国立ギャラリーで開催した『History will Break your Heart』(2015-16)では、40年代後半から50年代前半にかけてヨーロッパで展開した前衛運動「CoBrA」の創設メンバーのひとり、エルネスト・マンコバらを扱った作品を発表している。

昨年は、南アフリカ共和国国立ギャラリーのほか、ロンドンのGasworks、ケープタウンのSTEVENSONで個展を開催。これまでに、第8回ベルリン・ビエンナーレ(2014)や第2回ニューミュージアム・トリエンナーレ(2012)、第11回リヨン・トリエンナーレ(2010)といった国際展や、ゲント現代美術館、クンストハレ・ベルンなどで作品を発表している。2013年にはアートバーゼルでバロワーズ賞を受賞している。また、個人での制作活動のみならず、2006年に創設した他分野で活動する人々とともにコレクティブ「Gugulective」や、2010年に創設したキュレーターやアーティストとともに「Center for Historical Reenactments」での活動も継続している。

「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」の推薦は、オクウィ・エンヴェゾー、ホウ・ハンルゥ、ウド・キッテルマン、ヴィクトリア・ノーソーンが務めるドイツ銀行国際美術諮問委員会が行なう。今回の受賞に際し、ノーソーンは、「ケマン・ワ・レフレーラは、南アフリカ共和国におけるアーティストの表現を探求し、決して説明的ではなく、賛否両論を引き起こすような痛ましいイメージを通じて、自国の歴史や社会が抱えた痛みの再検討を試みている」とコメントしている。

なお、ワ・レフレーラは今回の受賞により、来春、ベルリンのドイツ銀行クンストハレで個展を開催する。

ドイツ銀行グループ「アーティスト・オブ・ザ・イヤー2017」
http://art.db.com/en/artist-of-the-year.html


歴代受賞アーティスト
2016|バシム・マグディ(エジプト)
2015|田中功起(日本)
2014|ヴィクトル・マン(ルーマニア)
2013|イムラン・クレシ(パキスタン)
2012|ローマン・オンダック(スロバキア)
2011|イト・バラダ(フランス/モロッコ)
2010|ワンゲチ・ムトゥ(ケニア)

Copyrighted Image