第5回福岡アジア美術トリエンナーレ2014


キリ・ダレナ「トゥンクン・ランギット」2013年

2014年9月6日、第5回福岡アジア美術トリエンナーレ2014が「未来世界のパノラマ—ほころぶ時代のなかへ」をテーマに福岡アジア美術館を中心に開催される。芸術監督は黒田雷児(福岡アジア美術館学芸課長)。

福岡アジア美術トリエンナーレは、福岡アジア美術館の継続的な調査研究や交流事業の成果と蓄積を生かして、アジア21カ国・地域の美術の新傾向を紹介する展覧会として、国内外から高い注目を集めている。同美術館開館15周年にあたる今回は、日本初紹介となる22作家を含む36人・組のアーティストと、特別部門「モンゴル画の新時代』に出品する10人のアーティストの計46人・組が参加する。また、既に開始されている滞在制作を含め、会期中には公開制作、館外展示、ワークショップ、パフォーマンス、トークなど、アジア各国からの招聘作家によるイベントが行なわれる。(詳細は公式ウェブサイトを参照)


Left: スニール・シグデル「脊柱」2010年. Right: ミン・ティエン・ソン「異世界(馬)」2014年.

「未来世界のパノラマ—ほころぶ時代のなかへ」をテーマに掲げる同展覧会は、閉ざされ、固定化された、独善的なビジョンではなく、複眼的につながり、逸脱し、果てしなく拡張していくビジョン(「未来世界のパノラマ」)を持ったアーティストの、迷宮のような現実から受ける圧力や限界、あるいはユートピアのような心地よい虚像のなかで思考停止することではなく、それらの矛盾やほころび(=破綻)を察知し、新しい世界像(イメージ、概念、関係性)へと変換するような想像力を通じて、新しい世界のほころび(=誕生)を予感させるものとなることを目指す。

福岡アジア美術館全館を使用して行なわれる展示は、「グローバリズムの果てから」、「共同体という幻想」、「日常の中の消失点」、「イメージの錬金術」、「素晴らしき新世界へ」で構成され、特別部門では、近年、伝統を大きく乗り越えた革新的な新潮流が生まれている「モンゴル画」に着目し、この潮流を牽引する10人の作家の約30点の作品を一挙に紹介する。

既に開催されているヨコハマトリエンナーレに今回の参加アーティスト、キリ・ダレナの作品、過去4回の同展覧会から福岡アジア美術館に収蔵された作品、および同展覧会関連資料を出品しているほか、9月20日に開幕する釜山ビエンナーレとは半券による観覧料無料サービスを実施するといった、ほかの国際展との連携も行なわれている。なお、今回、同展覧会初の試みとして、会期中に何度でも観覧できるフリーパスチケットが導入されている。

第5回福岡アジア美術トリエンナーレ2014:http://fukuokatriennale.ajibi.jp/

第5回福岡アジア美術トリエンナーレ2014
2014年9月6日(土)-11月30日(日)
福岡アジア美術館全館ほか周辺地域
休館日:水


ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホ「妙香山館」2014年

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