新国立競技場国際コンペ、最優秀案はザハ・ハディド


© Zaha Hadid Architects.

2012年11月15日、日本スポーツ振興センターは、新国立競技場基本構想国際デザイン・コンクールの最優秀賞に、ザハ・ハディド・アーキテクトを選定した旨を発表した。

ザハ・ハディドはバグダッド出身で現在ロンドンを拠点に活躍する建築家。かつてはアンビルトの建築家として知られたが、近年は数多くの国際的なコンペで勝利し、2004年には女性で初めてプリツカー賞を受賞、2009年には高松宮殿下記念世界文化賞を受賞している。近年の主な建築にローマの国立21世紀美術館(MAXXI)、広州オペラハウス、ロンドン・オリンピックの水泳競技施設アクアティクス・センターなどがある。国内では内装や店舗デザイン、展覧会場設計、仮設建築物であるシャネル・モバイルアートパビリオンを手掛けているが、本格的な建築物はまだ建てていない。

今回は、大胆な建築構造がそのまま表れたダイナミックなアリーナ空間の高揚感、臨場感、一体感の際立つ流線型の斬新なデザインを提案。周辺環境との関係については、現況に即したかたちでの修正が必要とされるが、その圧倒的な造形性による強いインパクト、日本の優れた建築、環境技術を世界にアピールできるデザインであることが高く評価された。なお、次点となる優秀案にはコックス・アーキテクチャー、入選案にはSANAA+日建設計の案がそれぞれ選出された。

同コンクールは、1964年の東京オリンピックの際に建てられた国立競技場の建て替え案を募るもの。新国立競技場は既に2019年に開催が決定しているラグビー・ワールドカップ、2020年の招致を目指すオリンピック、パラリンピックのメインスタジアムとなることが決まっている。選考課程は厳しい公募条件のもと提出された46作品が1次審査の段階で11作品に絞られ、2次審査にて審査委員長の安藤忠雄をはじめ、ノーマン・フォスターとリチャード・ロジャースなど10人の審査員による投票が行なわれた。その後、選出された上位作品について、デザイン、実現性など多様な観点から詳細にわたる議論を経て選定された。

最優秀案に選ばれたザハ・ハディドは、今後、基本設計や実施設計、施工の各段階でデザイン監修に当たる。

新国立競技場 国際デザイン・コンクールhttp://www.jpnsport.com/

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