東松照明死去(1930-2012)

日本を代表する写真家東松照明が、昨年12月14日に那覇市内の病院にて肺炎により死去していたことがわかった。享年82歳。
東松照明は1930年に名古屋市に生まれる。1954年に岩波写真文庫の制作スタッフに加わり、56年にフリーとなると、明治生まれの男性に焦点を合わせたルポルタージュなどを発表する。60年代に入ると「占領」「家」といったシリーズで新しいドキュメンタリー写真の理念を提示し、『<11時02分>NAGASAKI』(1966、写真同人社)をはじめ、数々の写真集を発表する。1972年には那覇に一年間、宮古島に7ヶ月滞在。この期間に撮影した写真に加え、その後東南アジアを撮影したカラー写真を収録した写真集『太陽の鉛筆』(毎日新聞社)を1975年に発表している。その後も精力的に制作を続け、2000年代には愛知県美術館、東京都写真美術館、長崎原爆資料館、名古屋市美術館、沖縄県立博物館・美術館などで個展を開催した。また、長年にわたり長崎の被爆者を撮影し続け、近年は沖縄に移住し、写真のワークショップを開いている。そのほか、名取洋之助との報道写真をめぐる論争、奈良原一高、細江英公らとともに設立した「VIVO」、荒木経惟や森山大道らと開講した70年代のワークショップ写真学校など、50年以上にわたる活動は日本写真に多大な功績を残した。

(文中敬称略)

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