マニフェスタ10、参加アーティストなどを発表

2014年3月25日、マニフェスタ財団は6月28日からサンクトペテルブルクでの開催が予定されているマニフェスタ10に関する記者会見を行なった。ディレクターのヘドウィグ・フィジェンとチーフ・キュレーターのカスパー・ケーニヒが、ロシア及び周辺国の昨今の政治状況下でマニフェスタ10を開催することに対する見解を述べ、そのほか、キュラトリアル・アプローチや参加アーティストが発表された。

ディレクターのフィジェンは、ボイコットすべきだという意見も見られたが、マニフェスタ10を予定通り開催することで、異なる立場の人々が話し合える開かれた対話の機会を提供することを決断。ウクライナとクリミアの複雑な状況に関しては、マニフェスタは平和的かつ非暴力的な解決を支持すると述べた。また、チーフ・キュレーターのケーニヒは、現在の情勢には強い懸念を抱きつつも、それ故にマニフェスタ10は開催されるべきだと信じており、開催しないことで諦念の態度を示すのではなく、アーティストも観客も各自の立ち位置から問いを立て、声を上げるべきとの見解を示した。

ケーニヒによるキュラトリアル・アプローチは、250年もの歴史を誇り、比類なきコレクションを有するサンクトペテルブルクのエミルタージュ美術館を舞台にローカル/グローバル、現代/古代といった美術史における異なる時間を考察するという稀有な機会であり、そうしたさまざまな時間の間のずれや空白を批判的に探求し、現代美術はそのずれや空白を読み解く言語を提示できるのかという問いに挑むもの。
主な会場として使用されるのは、新しく改装された旧参謀本部[The General Staff Building]と歴史的なコレクションが展示されている冬の宮殿。普段は冬の宮殿内に展示されているアンリ・マティスの作品が旧参謀本部に、マティスの部屋にはマルレーネ・デュマスやニコル・アンゼンマン、マリア・ラスニックが展示されるなど、時代や文化を超えた作品間の対話を目論む。そのほか、ヨーゼフ・ボイス、ルイーズ・ブルジョワ、ブルース・ナウマン、マイク・ケリー、トーマス・ヒルシュホルン、ゲルハルト・リヒター、カタリーナ・フリッチュ、リネケ・ダイクストラ、ヴォルフガング・ティルマンス、ボリス・ミハイロフ、シンディ・シャーマン、森村泰昌、西野達、ラグナー・キャルタンソン、ワエル・シャウキー、クレメンス・フォン・ヴェーデマイヤーなど、40人以上のアーティストが参加を予定しており、今日の美術を展望するのではなく、エルミタージュ美術館という特殊な空間に、慎重に選ばれた作品を配置することで見えてくるものを探っていく。

東西冷戦後に設立されたマニフェスタはこれまでに20年間に渡って異なる都市の地政学、社会経済的な文脈での開催を試みている。今回もまた、人権が軽視され、検閲/自己検閲が懸念されるような「批判」が許されない地域で国際美術展に何ができるのかというジレンマにアーティストや批評家らとともに挑戦する。

MANIFESTA:http://manifesta.org/

マニフェスタ10
2014年6月28日(土)-10月31日(金)
エルミタージュ美術館

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