第24回高松宮殿下記念世界文化賞決定

2012年9月12日、第24回高松宮殿下記念世界文化賞の受賞者がニューヨーク、ロンドン、パリ、ローマ、ベルリン、東京の各都市で発表された。本年度は絵画部門を中国出身の蔡國強、彫刻部門をイタリア出身のチェッコ・ボナノッテが受賞した。
中国国籍では初の世界文化賞の受賞者となった蔡國強は、火薬を用いた絵画やパフォーマンスで知られるニューヨーク在住の現代美術家。1986年の来日以来、ニューヨークに活動の拠点を移す95年まで日本にて活動する。同時期に火薬を用い、キャンバスを支持体とした作品から、野外で火薬を爆発させる大規模なプロジェクトやアースワークへと制作方法を移行していく。92年には、軍事基地と花火を組み合わせた「始動2」、93年には火薬と導火線を使った「万里の長城を1万メートル延長するプロジェクト」を発表する。ニューヨークに拠点を移した後も、96年に「キノコ雲のある世紀」を発表、99年にヴェネツィア・ビエンナーレにて国際金獅子賞を受賞、2005年には同ビエンナーレに初出展した中国館のキュレーターを務めるなど国際的に高い評価を受ける。その後も2008年には「歴史の足跡:北京オリンピック2008開会式のための花火プロジェクト」を手掛け、同年、広島の原爆ドーム付近で「黒い花火:広島のためのプロジェクト」を発表(第7回ヒロシマ賞を2007年に受賞)する。近年もグッゲンハイム美術館、アラブ近代美術館(ドーハ)、ロサンゼルス現代美術館など国際的な舞台での発表が続いている。
イタリア出身の彫刻家チェッコ・ボナノッテは具象彫刻で知られ、その作品はイタリアの上院「パラッツォ・マダーマ」やイタリア、ヴィンチのサンタ・クローチェ教会内の洗礼堂などに設置されている。また、ヴァチカン美術館正面入口の大扉、フランスのリュクサンブール美術館の大扉の制作も手掛けている。日本との関わりは深く、1975年には沖縄海洋博覧会に「飛翔―期待1975」を出品し、中冨記念くすり博物館(佐賀県鳥栖市)、サクラファミリア(カトリック大阪梅田教会、大阪市)大聖堂の作品も手掛け、2006年には箱根彫刻の森美術館にて個展を開催している。定期的に来日し、東京のアトリエにて制作を行なっている。
なお、そのほかの部門では、建築部門をヘニング・ラーセン、音楽部門をフィリップ・グラス、演劇・映像部門を森下洋子がそれぞれ受賞し、第16回若手芸術家奨励制度の対象団体としてスフィンクス・オーガニゼーションが選出された。授賞式典は、10月23日に東京、元赤坂の明治記念館で行なわれる。また、翌24日には受賞記念講演会2012「蔡國強 アートフォーラム」がアウディフォーラム東京にて行なわれる(要申込/締切10月1日)。

公式ウェブサイト:http://www.praemiumimperiale.org/

受賞記念講演会2012「蔡國強 アートフォーラム」
10月24日(水)18:00~19:30(開場17:30)
会場:アウディフォーラム東京(東京都渋谷区神宮前6-12-18)
参加申込など詳細(受賞記念講演会のお知らせ「蔡國強 アートフォーラム」

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