香港、西九文化区の『M+』のディレクターに、元テート・モダン館長

 香港西九文化区管理局は、香港特別行政府が現在開発を進めている西九文化区(西九龍文化娯楽区)に建設予定のミュージアム・プラス(通称『M+』)のエグゼクティブ・ディレクターに、スウェーデンの現ストックホルム近代美術館館長で、今年秋に勇退するラース・ニッティヴェが就くことを、2010年6月23日に発表した。ニッティヴは2011年1月より新天地香港での仕事を始める。

ラース・ニッティヴェは1953年生まれ。ストックホルム近代美術館のキュレータをはじめ、スウェーデン、マルメのルーセウム現代美術センターのディレクター、デンマーク、フムレベックのルイジアナ美術館館長、さらにテート・モダンの館長を務めたあと、2001年からストックホルム近代美術館館長として現在に至る。2010年10月を持って退職することが今年の1月に発表されていた。

 香港特別行政府が約216億香港ドル(2500億円)の予算を投じる西九文化区は、本年末より各種施設の建設がスタートし、第1期計画の完了は2015年、さらに第2期の工事完了は2031年を予定している。『M+』を含む、劇場、展示施設などが入る巨大複合文化エリアが立ち上がるとのことだ。

 1998年からスタートした本開発計画は、当初デベロッパー主導で進められ、グッゲンハイム美術館やポンピドゥーセンターなど海外の大型美術館の分館を作るという構想もあった。しかし、2006年頃より、市民を中心とした独自の美術館を求める動きが強まり、政府側もそれに応じる形で、20世紀から21世紀にかけての視覚芸術(デザイン、大衆芸術、映像、美術)に焦点をあてると同時に、香港独自の視点を重視した新しい美術館を建設する方針へ転換した。

 その後2010年3月には、同区管理局のCEOとして、ロンドンのバービカンセンターの元館長グラハム・シェフィールドを任命。バービカンでの実績を基に、アジアにおける芸術都市の中心地を目指し、行政主導の複合芸術施設の新しい運営計画に取り組んでいる。

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