第25回高松宮殿下記念世界文化賞決定


Michelangelo Pistoletto The Voyeurs (M. Pistoletto and V. Pisani) (1962/72). Installation view from Visible / Invisible at Toyota Municipal Museum of Art

2013年9月17日、第25回高松宮殿下記念世界文化賞(公益財団法人日本美術協会主催)の受賞者が、ローマ、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン、東京の各都市で発表された。絵画部門をミケランジェロ・ピストレット、彫刻部門をアントニー・ゴームリーが受賞。建築部門は昨年の第13回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展のディレクターを務めたデイヴィッド・チッパーフィールド、その他、音楽部門はプラシド・ドミンゴ、演劇・映像部門はフランシス・フォード・コッポラがそれぞれ受賞した。各受賞者には顕彰メダルと感謝状、賞金1500万円が贈られる。なお、ローマでは若手芸術家奨励制度の対象団体に選出された聖チェチーリア国立アカデミー付属ユニ・オーケストラ(ローマ)には奨励金500万円が贈られた。

ミケランジェロ・ピストレットは1933年ビエッラ(イタリア)生まれ。鏡面に仕上げたステンレス板に人物などを描いた「ミラー絵画」や後のアルテ・ポーヴェラに繋がる日常的な素材を用いた「マイナス・オブジェクツ」などで知られる。1960年のトリノでの初個展以来、世界各地で数多くの個展を開催、金獅子賞を受賞した第50回ヴェネツィア・ビエンナーレ(2003年)をはじめ、数多くの国際展、企画展に参加している。今年はルーブル美術館でも回顧展『Year 1: Earthly Paradise』が開催された。その他、98年には19世紀の繊維工場を改修し、アートをさまざまな社会活動に結びつける実験的施設「チッタデッラルテ」(ピストレット財団)を設立し、芸術を社会の責任ある立場に置き、芸術の創造性による社会のより良い発展を模索している。日本国内でも、75年に東京で個展を開催、豊田市美術館の『アルテ・ポーヴェラ/貧しい芸術』(2005年)、横浜トリエンナーレ2008などで紹介されている。

アントニー・ゴームリーは1950年ロンドン生まれ。彫刻の古典的主題である「身体」に対する新しい解釈を試み、現在、世界各地で恒久設置されている自身の身体から型を取った作品などで知られる。87年にはひとつの場を数十万体の小さな土人形で埋め尽くすプロジェクト「フィールド」をドクメンタ8で発表し、同プロジェクトは現在も各地で展開している。94年にはターナー賞を受賞。97年にイギリス北西部リヴァプール近郊のクロスビー・ビーチには、3キロに及ぶ海岸線に沖を向いた100体の人体像を配したインスタレーション「アナザー・プレイス」を発表、同作品は恒久設置されている。日本国内でも6カ所を巡回した『スティル・ムービング:ワークス1975-1996』(1996-97年)への出品や旧東京都立城南高校体育館で個展『アジアン・フィールド』を開催している。また、2012年から今年3月にかけて神奈川県立近代美術館葉山館にて『TWO TIMES−ふたつの時間』を開催し、人体像2体を屋外展示した。

授賞式典は、10月16日に東京、元赤坂の明治記念館で行なわれる。また、翌17日には受賞記念講演会2013「受賞記念建築講演会2013 デイヴィッド・チッパーフィールド 建築を語る」が鹿島KIビル大会議室にて行なわれる(要申込/締切9月30日)。

高松宮殿下記念世界文化賞:http://www.praemiumimperiale.org/

受賞記念建築講演会2013「デイヴィッド・チッパーフィールド 建築を語る」
2013年10月17日(木)16:00-17:30(開場:15:30)
会場:鹿島KIビル 大会議室(東京都港区赤坂6-5-30)
定員:300名 ※要申込(締切は9月30日)
申込等詳細は下記URLを参照。
http://www.praemiumimperiale.org/ja/news/news/item/303-201309172

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