第19回文化庁メディア芸術祭、受賞作品決定


アート部門 大賞 『50 . Shades of Grey』 CHUNG Waiching Bryan ©2015 Bryan Wai-ching CHUNG

2015年11月27日、文化庁メディア芸術祭実行委員会は、東京・六本木の国立新美術館で記者発表会を開き、第19回文化庁メディア芸術祭の受賞作品を発表した。昨年は該当者なしとなったアート部門の大賞は、チュン・ワイチン・ブライアンの「50.Shades of Grey」が選出された。

文化庁メディア芸術祭では、1997年以来、同時代のテクノロジーや社会状況に批評的な視点を与え、多様化する価値観に対し想像力の共有をもたらす作品を、受賞作品展をはじめ、さまざまな事業を通じて国内外に広く紹介している。今年度は、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門に対して、過去最多となる4,417応募作品(アート部門:1,946作品)が86カ国/地域から寄せられた。アート部門の審査員を務めたのは、石田尚志(画家/映像作家/多摩美術大学准教授)、植松由佳(国立国際美術館主任研究員)、佐藤守弘(視覚文化研究者/京都精華大学教授)、中ザワヒデキ(美術家)、藤本由紀夫(アーティスト)。

チュン・ワイチン・ブライアンは1964年香港生まれ。メディアアーティストとして活動するとともに、香港浸会大学でインタラクティブアートおよびマルチメディアを教えている。受賞作品となった「50.Shades of Grey」は、広く普及していたものの、現在ではそのほとんどが使用されていないプログラミング言語を、最新機器のなかに取り込み、新しい外貌やエネルギーをもたせて視覚化することで、これまでに開発された異なるテクノロジーが盛衰してきたさまを可視化している。

そのほか、アート部門優秀賞には、アダム・バサンタの「The sound of empty space」、マルセリ・アントゥネス・ロカの「Ultraorbism」、KASUGAの「Wutbürger」、長谷川愛の「(不)可能な子供、01:朝子とモリガの場合」、同部門新人賞には、山本一彰の「算道」、ロレンツ・ポットハストの「Communication with the Future – The Petroglyphomat」、ルイス・ジャック・ホートン・スティヴェンスの「Gill & Gill」がそれぞれ選出された。

贈呈式は、2016年2月2日に国立新美術館で開催。翌3日より14日まで同美術館を中心に『第19回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展』が開催される。

第19回文化庁メディア芸術祭http://j-mediaarts.jp

各部門大賞受賞者、受賞作品
※各作品の概要、贈賞理由は公式ウェブサイトを参照

アート部門大賞
チュン・ワイチン・ブライアン「50.Shades of Grey」

エンターテインメント部門大賞
岸野雄一「正しい数の数え方」

アニメーション部門大賞
ボリス・ラベ「Rhizome」

マンガ部門大賞
東村アキコ「かくかくしかじか」

功労賞(メディア芸術の分野に貢献を残した人物に贈呈)
飯村隆彦(映像作家/批評家)
上村雅之(ハードウェア開発者/ビデオゲーム研究者)
小田部羊一(アニメーター/作画監督/キャラクター・デザイナー)
清水勲(漫画・諷刺画研究家)

第19回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展
2015年2月3日(水)-2月14日(日)
国立新美術館、ほか
http://j-mediaarts.jp

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