ヒューゴ・ボス賞2014


Paul Chan Sade for Sade’s sake (2009) Digital color projection, 5 hours, 45 min Installation view: Greene Naftali, New York, 2009 Courtesy the artist and Greene Naftali, New York. Photo: Gil Blank

2014年11月20日、ソロモン・R・グッゲンハイム財団は、現代美術に顕著な功績を収め、革新的かつ影響力のある実践に取り組むアーティストを表彰するヒューゴ・ボス賞2014を、ポール・チャンに授与すると発表した。チャンは第1回のマシュー・バーニーから数えて、10人目の受賞者となった。チャンには、賞金10万ドル(約1177万円)とニューヨークのグッゲンハイム美術館での個展の機会が与えられる。

ポール・チャンは、1973年香港生まれ。ニューヨークを活動拠点としながら、現実の政治的問題、社会的問題に対して、独創的かつ多面的な実践を展開している。文学、哲学、歴史、宗教など幅広い知識に基づいた実践は、ドキュメンタリー映像作品やドローイング、地域コミュニティを基盤としたパフォーマンス・プロジェクト、レクチャーといった多種多様な形をとる。先月までバーゼルのシャウラガーで半年間に渡って開催されていた大規模な個展や、ドクメンタ13(2012)や第53回ヴェネツィア・ビエンナーレ(2009)をはじめ、数多くの個展を開催、国際展、企画展に参加している。日本国内では、横浜トリエンナーレ2008にて、床面に影絵アニメーションを投影した「6番目の光」(2007)を発表している。また、2005年のハリケーン・カトリーナの被害を受けて壊滅状態となったニューオリンズで、2007年にサミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』を上演。2010年には限定本やe-book、アーティストブックなどを出版する「Badlands Unlimited」を設立。このような既存の枠組みにとらわれない無数の形をとる実践を、実験的に絶えず展開し続ける姿勢が今回の受賞を決定づけるものとなった。

ヒューゴ・ボス賞は1996年に創設され、年齢、性別、国籍、制作手法を問わず、グッゲンハイム美術館のキュレトリアルスタッフや、そのほかの美術機関のディレクター、キュレーターなどからなる審査委員会によって選出される。ポール・チャンのほか、シーラ・ゴウダ、カミーユ・アンロ、ハッサン・カーン、シャーリーン・フォン・ハイル(スティーヴ・マックイーンはアカデミー賞ノミネートのため、規定により辞退)が最終候補に選出されていた。

ヒューゴ・ボス賞:http://www.guggenheim.org/guggenheim-foundation/collaborations/hugo-boss-prize

ヒューゴ・ボス賞2014、最終候補者発表

Copyrighted Image