ラウル・デ・カイザー死去(1930-2012)

2012年10月5日、ベルギー人画家、ラウル・デ・カイザーが生まれ故郷の街、ダインゼで死去した。1930年生まれ、82歳だった。公務員、スポーツジャーナリストを経て、画家になったのは、1963年、30代に入ってからであった。
デ・カイザーは、ロジャー・ラヴェールが主宰する「Nieuwe Visie(あらたなヴィジョン)」グループの一員で、具象絵画やポップアートに近い絵画を制作していたが、徐々に、抽象画へと変化していった。日常生活に存在する極めて平凡なものをモチーフに用い、それを拡大することで抽象化した絵画は、単純な形状ながらその配色と、線づかいが静かな動きを表現している。そしてモチーフが具体的なものであるが故に、抽象と具象の間を行き来する独特な絵画を確立していった。
ドクメンタ9(1992)、ヴェネツィア・ビエンナーレ(2007)など国際展への参加も多数。また、ニューヨーク近代美術館、アムステルダム市立近代美術館など世界の主要な美術館での個展も多い。日本ではワコウ・ワークス・オブ・アートで2001年と2007年に個展を行っている。

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