宮脇愛子死去(1929-2014)

2014年8月20日、ステンレス・スチールのワイヤーをしならせた代表作「うつろひ」などで知られる日本を代表するアーティスト宮脇愛子が、膵臓がんのため横浜市内の病院で死去した。84歳。

宮脇愛子は1929年東京都生まれ。52年に日本女子大学文学部美術史学科を卒業。阿部展也、斎藤義重に師事し、59年に養清堂画廊にて初の個展を開催する。60年代にミラノ、パリで滞在制作を行ない、ニューヨークを経て、60年代半ばに帰国すると、抽象絵画から真鍮などを用いた彫刻作品の制作を開始する。真鍮製の角柱パイプを多数組み合わせた彫刻「Work」。厚い板ガラスを独自の手法で同サイズの矩形に割り、積層させた作品「MEGU」などを発表。80年代に入ると代表的なシリーズとして知られる「うつろひ」で、81年には第2回ヘンリー・ムアー大賞展でエミリオ・グレコ特別優秀賞を受賞。92年にはバルセロナ・オリンピック広場に同作品を設置。カタルーニャ芸術評論家賞を受賞するなど、世界各地に展開。日本国内でも、ハラ・ミュージアム・アーク、群馬県立近代美術館などに設置している。98年には神奈川県立近代美術館で個展『はじめもなく終わりもない 宮脇愛子 彫刻家の軌跡』を開催。今春にはカスヤの森現代美術館2006年以来3度目となる個展を開催していた。

葬儀は近親者のみで執り行われ、11月上旬に「宮脇愛子さんを偲ぶ会」(主催:磯崎新)がカスヤの森美術館で行なわれる。なお、同館では常設展示室にて1950年代から80年代の絵画作品を、竹林には「うつろひ」を展示している。

Copyrighted Image