第10回ベネッセ賞は、アンリ・サラに


Ravel Ravel Unravel (2013) Photo: ART iT

2013年11月25日、株式会社ベネッセホールディングスは、ヴェネツィア・ビエンナーレ参加アーティストを対象とするベネッセ賞の、アンリ・サラへの授与を発表した。サラには今後のベネッセアートサイト直島における作品制作を前提に、ベネッセアートサイト直島への招待、賞金300万円が授与された。

同賞は1995年に次世代を担うアーティストの支援を目的に設立され、10回目を迎える。今回は審査員を務めた三木あき子、シェイカ・フール・アル・カーシィミ、キム・ソンジュン、ポーラ・トッピラの4名が第55回ヴェネツィア・ビエンナーレのヴェルニサージュ期間にプレ選考を行い、後日、ベネッセホールディングス会長の福武總一郎を含めた最終選考により、アンリ・サラへの授与を決定した。審査員代表の三木のコメントによると、プレ選考はビエンナーレの展示作品に限らず、作家の活動全体を対象に行われ、サラの近年の作品における音楽、建築、映像が複雑に絡み合う体感型の空間の創出を高く評価した。また、既存のベネッセアートサイト直島の作品とは異なるアプローチでのサイト・スペシフィック性の探求が期待されることが最終的な授賞理由となった。


Ravel Ravel Unravel (2013) Photo: ART iT

アンリ・サラは1974年ティラナ(アルバニア)生まれ。初期作品では旧社会主義国家出身という出自を背景にした政治的、自伝的要素を含む映像作品を発表している。一方で、音と空間の関係性の再構築に対する強い興味、イメージと音の関係性への関心から、建築を取り巻く音やありふれた光景への眼差しを扱う作品も継続して発表している。これまでに第49回ヴェネツィア・ビエンナーレでの若手作家賞、2011年にはアブソルート・アート・アワードを受賞するなど高い評価を受けており、昨年のポンピドゥー・センターでの個展をはじめ、多数の美術館で個展を開催している。国内でも、2001年の横浜トリエンナーレへの参加、2011年の国立国際美術館での個展開催、また、京都国立近代美術館で今秋開催された『映画をめぐる美術――マルセル・ブロータース』(来春、東京国立近代美術館に巡回)にも初期作品を出品している。今回の第55回ヴェネツィア・ビエンナーレではフランス代表としてドイツ館にて映像インスタレーション「ラヴェル・ラヴェル・アンラヴェル[Ravel Ravel Unravel]」を発表した。

なお、サラは既にベネッセアートサイト直島を訪問、作品構想のベースとなる地域各所の視察やミーティングを行い、2016年の作品公開を目指す。

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