第2回ヒューゴ・ボス・アジア・アート、ファイナリスト

2015年6月25日、ロックバンド・アート・ミュージアム[上海外灘美術館]とヒューゴ・ボスは、第2回ヒューゴ・ボス・アジア・アート賞の最終候補6名を発表した。最終候補に残ったのは、グァン・シャオ[关小]、ホァン・ポージィ[黃博志]、モエ・サット、マリア・タニグチ、ヴァンディ・ラッタナ、ヤン・シングァン[杨心广]。最終候補6名が新作を出品する展覧会『ヒューゴ・ボス・アジア・アート』はロックバンド・アート・ミュージアムで10月30日より開催。11月中に受賞者が発表され、賞金30万元(約596万円)が授与される。

ヒューゴ・ボス・アジア・アート賞は、2013年にロックバンド・アート・ミュージアムとヒューゴ・ボスが新進のアーティストの活動を支援する目的で創設され、隔年で開催される。第1回目となった前回は、中国本土、台湾、香港、マカオ出身の作家を対象に7組が最終選考に残り、クワン・シャンチ[關尚智]が受賞している。2回目となる今回は選考対象地域に東南アジアが加わった。審査を担当したのは、審査委員長のラリーズ・フロジャー(ロックバンド・アート・ミュージアム・ディレクター)をはじめ、アレクサンドラ・モンロー(ソロモン・R・グッゲンハイム美術館アジア・アート部門サムソン・シニア・キュレーター)、ホウ・ハンルゥ(イタリア国立21世紀美術館アーティスティックディレクター)、ウテ・メタ・バウアー(南洋理工大学センター・フォー・コンテンポラリー・アート[シンガポール]ディレクター)、長谷川祐子(東京都現代美術館チーフキュレーター)ら同地域の現代美術の識者13名。

なお、『ヒューゴ・ボス・アジア・アート』開催に合わせ、教育プログラム「IN-BETWEEN BORDERS」、「WHAT WE TALK ABOUT WHEN WE TALK ABOUT ASIA」を、ロックバンド・アート・ミュージアムや最終候補が活動する東南アジアの都市で今年8月から来年1月にかけて実施する。同記録集は来年刊行予定。

ヒューゴ・ボス・アジア・アート
http://www.rockbundartmuseum.org/en/exhibition/overview/e6djst

ヒューゴ・ボス・アジア・アート
2015年10月30日(金)-2016年1月3日(日)
ロックバンド・アート・ミュージアム[上海外灘美術館]
http://www.rockbundartmuseum.org/


Left: Guan Xiao The Documentary: Geocentric Puncture (2012) installation, mix media, each 230 x 280 x 210 cm. Right: Guan Xiao THE SUNSET (2012) installation, mix media.

グァン・シャオ[关小]|Guan Xiao
1983年重慶生まれ。北京在住。2006年に中国伝媒大学を卒業。過去/未来、原始/伝統、ローテク/ハイテクといった対立する要素を並べ置くことで独特の美を表出する彫刻や映像作品などを発表している。これまでに、ニューミュージアム・トリエンナーレ2015やハンス・ウルリッヒ・オブリストのプロジェクト『The Future Will Be… China』などに参加。第13回リヨン・ビエンナーレへの参加、ロンドンの現代美術センター(ICA)での個展やパリのジュ・ド・ポーム国立美術館での小展示が控えている。


Huang Po-Chih Production Line—Made in China (2014) installation, dimensions variable, Shenzhen Sculpture Biennale, 2014

ホァン・ポージィ[黃博志]|Huang Po-Chih(1980、桃園、台湾)
1980年台湾桃園生まれ。台湾新竹在住。2011年に国立台北芸術大学を卒業。農業、経済、消費や生産などをテーマとする黃の作品は、プロジェクト毎に多様な形態をとりながら、地域の歴史や社会、環境を描写、探究している。昨年は第8回深圳彫刻ビエンナーレと台北ビエンナーレ2014に参加し、オフショアリングの問題と個人の歴史を結びつけたプロジェクト「生産線―中国製造&台湾製造」を発表。現在は地元農家とともにレモンを栽培し、レモンリキュールを製造するプロジェクトに取り組んでいる。


Moe Satt F n’ F (Face and Fingers) (2008-09) performance, video, photography

モエ・サット|Moe Satt(1983、ヤンゴン、ミャンマー)
1983年ヤンゴン生まれ。同地在住。2005年に動物学を学んでいた東ヤンゴン大学を卒業し、美術、とりわけパフォーマンスアートをはじめる。長く続いた独裁政権の影響が残るミャンマーにおいて、モエ・サットはギャラリーだけでなく、路上でのパフォーマンスも行ない、2008年にはパフォーマンスアートの国際フェスティバル「Beyond Pressure」を立ち上げた。近年は香港のパラサイトのグループ展(2013)や北京の第2回中央美術学院美術館(CAFAM)ビエンナーレ(2014)に参加、バンコクのレベル・アートスペースで展覧会『General / Tiger / Gun』(2014)を企画している。


Maria Taniguchi Untitled (2013) acrylic, canvas, wood support, unframed, 304.8 x 457.2 cm

マリア・タニグチ|Maria Taniguchi(1981、ドゥマゲテ、フィリピン)
マニラ在住。フィリピン大学を経て、2009年にロンドンのゴールドスミス・カレッジを修了。絵画や陶器、映像作品など複数のメディアを用いつつも、形[form]を追求した制作を一貫して続けている。近年、アートバーゼルのステイトメント部門(2013)や、アンマンのハリッド・ショマン財団(2013)、マニラのミュージアム・オブ・コンテンポラリーアート・アンド・デザイン(2012)、同じくマニラのメトロポリタン美術館(2012)で作品を発表している。また、2011年と2012年には、フィリピンの36歳以下のアーティストを対象としたアテネオ・アート・アワードを二年連続で受賞している。


Vandy Rattana Bomb Ponds (2009) Single-channel video with sound 21 min

ヴァンディ・ラッタナ|Vandy Rattana(1980、プノンペン、カンボジア)
1980年プノンペン生まれ。台北、パリ、プノンペンを拠点に活動している。出来事や気配の記録の可能性を問う詩的な写真、映像作品で知られる。2007年にアーティスト・コレクティブ「スティーブセラパック」、2009年に「Sa Sa Art Gallery」を共同で設立。2011年にはカンボジア初の現代美術の展示スペース「SA SA BASSAC」を設立している。2012年にはドクメンタ13に参加。東京都現代美術館を皮切りに国内外を巡回する『他人の時間』に「独白」(2015)を出品。現在、NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]のレジデンスプログラムで東京に滞在し、同じくカンボジア出身のカニータ・ティスとの二人展『Today of Yesterday – 過去に在る、いま』(山本現代、7月11日-7月25日)を行なう。


Left: Yang Xinguang, Untitled, 2013, acrylic, wood, fiber, 160 x 80 x 30 cm. Right: Yang Xinguang, HUMPH! AHA!, 2014, wood, plastic, 186 x 35 x 35 cm, 198 x 32 x 32 cm.

ヤン・シングァン[杨心广]|Yang Xinguang(1980、湖南省、中国)
1980年湖南省長沙生まれ。2007年に中国美術学院を卒業。木材、土、石などの素材を使用し、制作行為が痕跡として残るミニマルな彫刻で知られる。2013年には北京公社や香港のGallery EXITで個展を開催。今年も既に上海民生現代美術館や中央美術学院美術館の企画展で作品を発表している。

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