芸術公社プロデュース「レクチャーパフォーマンス・シリーズ」

2014年11月の発足以来、芸術が今日の時代と社会に応答し、未来に向けて新たな公共理念や社会モデルを提示しうるものであるという認識のもとに、同時代芸術に関わる事業の企画運営を行なう芸術公社が、日本および世界の諸地域において独自の芸術理論や方法論を編み出している世界的なアーティストによる「レクチャーパフォーマンス・シリーズ」の公演をはじめる。

レクチャーパフォーマンスは、表現者が自らの言葉で観客に語りかける形式の上演作品。第1弾は、南米コロンビアの演劇・思想シーンを牽引するマパ・テアトロのロルフ・アブデルハルデンによる『廃墟の証言』。2013年サンフランシスコ近代美術館での初演時には、彼らが活動拠点とするボゴタの中心部エル・カルトゥーチョ(弾薬筒)と呼ばれた伝説的スラム街が、都市整備によって解体、浄化されていく様子やそこに生き続ける人々の表情を捉えた映像を4つのスクリーン上に投影。ハイナー・ミュラーの『プロメテウスの解放』 を下敷きに、開発計画を実行した前コロンビア市長やエル・カルトゥーチョ最後の住人も出演した。今回は、2020年のオリンピックに向けてあちこちで巨大開発が進む東京という都市を踏まえたバージョンを上演する予定。(英語上演、日本語字幕・通訳つき)

第2弾は、広島市現代美術館で開催中の『ふぞろいなハーモニー』にも出品中の台湾を代表するアーティスト、チェン・ジエレン[陳界仁]。最新映像インスタレーション「残響世界」(2014)に自らの創作理念を交えながら、レクチャーパフォーマンスとして新たに発展させたものを上演する。歴史上の題材を過去だけではなく、現在そして未来に続く問いとして捉えるチェンは、本作品において、ハンセン病患者収容施設「楽生院(のちに楽生療養院と改称)」をめぐる個人の物語に、日本と台湾両国の歴史を重ね、現代の社会問題へと静かに斬り込んでいく。(中国語・日本語上演)なお、今回の上演に際し、台湾での初上映時には4つのスクリーンで上映された「残響世界」をシングルスクリーンにまとめたバージョンを、2月12日から2月26日まで、台北駐日経済文化代表処台湾文化センターで上映する。

レクチャーパフォーマンスの会場は東京・芝浦のSHIBAURA ハウス。各日の上演後には、高山明や管啓次郎、藤井光、港千尋、笠原恵実子らゲストを迎えて、コモンズ・トークを行なう。チケットの発売は1月8日から。詳細は下記ウェブサイトを参照。

芸術公社プロデュース
レクチャーパフォーマンス・シリーズhttp://lecture-performance.com/

Vol.1 ロルフ・アブデルハルデン/マパ・テアトロ(コロンビア)
『廃墟の証言』

2016年2月4日(木)19時開演 *高山明(演出家、Port B主宰)
2016年2月5日(金)19時開演 *未定
2016年2月6日(土)17時開演 *管啓次郎
*終演後、アーティストと観客の対話の場「コモンズ・トーク」あり(ワンドリンクつき) 開場は開演の45分前

Vol.2 チェン・ジエレン(台湾)
レクチャーパフォーマンス版『残響世界』

2016年2月16日(火)19時開演 *藤井光(美術家、映画監督)
2016年2月17日(水)19時開演 *港千尋(写真家、多摩美術大学教授、あいちトリエンナーレ2016芸術監督)
2016年2月18日(木)19時開演 *笠原恵実子(美術家、多摩美術大学教授)
*終演後、アーティストと観客の対話の場「コモンズ・トーク」あり(ワンドリンクつき) 開場は開演の45分前

映像上映
「残像世界」(2014、104分)シングルスクリーン
2016年2月12日(金)–2月26日(金)
各日11時、13時、15時、17時より上映
台北駐日経済文化代表処台湾文化センター
http://jp.taiwan.culture.tw/
※無料、予約不要

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