フリーズ・アートフェア、ロンドン レポート

2010年10月14日から17日まで、フリーズ・アートフェアが開催された。例年よりアメリカからの関係者は減り、さらに10月21日よりパリで行われるFIACと時期が近いことから、フリーズ・アートフェア訪問を見送ったコレクターもいたようであるが、一方でロシア、グルジア、中東、トルコなどから新たなコレクターの来訪が増えており、大盛況となった。

10月6日に新しいスペースをオープンしたばかりのセイディ・コールズHQはウーゴ・ロンディオーネ、サラ・ルーカス、ヴィルヘルム・サスナル、ジョン・カーリンなどの作品を出品。フェア開始以前にほとんどの作品を売却し、今年のフリーズ・アートフェア・スタンド賞を取るほどの勢いであった。
*フォトレポートFrieze Art Fair 2010 part 2参照

同じく地元ロンドンの、トーマス・デイン・ギャラリーは2011年3月にニューヨークのホイットニー美術館で個展を控えるグレン・ライゴンの絵画作品「Figure #49」(2010)を125,000 USドル(およそ1,018万円)でヨーロッパのコレクターに売却した。


Glenn Ligon, Figure #49 (2010), coal dust on canvas, 152.4 x 121.9 cm.

ザルツブルクとパリにあるギャラリー、タデウス・ロパック・ギャラリーはゲオルグ・バゼリッツの絵画作品「Ahmung ohne Schatten」(2010)を400,000ユーロ(およそ4,555万円)で、アメリカ人コレクターに売却した。
*フォトレポートFrieze Art Fair 2010 part 2参照
ギャラリー・ギゼラ・キャプテンは来年のヴェネツィア・ビエンナーレで、スコットランド館代表作家に選ばれたカーラ・ブラックの彫刻作品「Maintance」(2010)を8,000ポンド(およそ104万円)で売却。
*フォトレポートFrieze Art Fair 2010 part 3参照

小山登美夫ギャラリーは1983年生まれの若手作家、風能奈々の個展形式のブース。21,500 USドル(およそ175万円)の絵画作品「A letter from the artist」(2010)はフェア開始後すぐにイギリス人コレクターが購入。フェアの終盤には殆どの作品がイギリス、ヨーロッパのコレクターへ売却された。
*フォトレポートFrieze Art Fair 2010 part 2参照

Nana Funo, A letter from the artist (2010), acrylic, dye, gesso on canvas.

価格がまだ比較的高くない、将来が期待される若いアーティストの作品と、高額ではあるが既に評価が定まっている作家の作品とにバイヤーの購買対象作品の傾向が二分しているようである。以前のようにフェア前半で売り上げを達成するギャラリーは数ヶ所に限られ、コレクターはじっくり値段と作品を吟味し購入する傾向にあった。また、ドルの劣勢の影響もあり、売却先の多くは結果的にヨーロッパ中心だったようだ。

一方、ギャラリー側も不況は織り込み済みのため、数点の売却でも手ごたえを感じている様子である。ただし、価格だけでなく、サイズ、素材などの面からも売却が容易な作品を揃えたため、作家の主要作品をコレクションに加えたい美術館関係者からは不満の声も聞こえた。

ニュース
ヨーロッパ、ギャラリーの新スペースオープンラッシュ(2010/10/17)

フォトレポート
Frieze Art Fair 2010 part 1
Frieze Art Fair 2010 part 2
Frieze Art Fair 2010 part 3
Frieze Art Fair 2010 part 4
Frieze Art Fair 2010 part 5

Frieze Art Fair 2010
会場: リージェンツ・パーク、ロンドン
会期: 2010年10月14日–17日
http://www.friezeartfair.com/

Copyrighted Image