ターナー賞2015


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2015年12月7日、世界有数の現代美術の賞として知られるターナー賞の授賞式がグラスゴーのトラムウェイで開かれ、ロンドンを拠点に活動するコレクティブ、アッセンブル[Assemble]の受賞が発表された。アッセンブルには賞金25,000ポンド(約463万円)が授与された。

アッセンブルは、ロンドンを拠点にアート、デザイン、建築といった領域で活動するアーティスト・コレクティブ。行政や企業主導のジェントリフィケーションとは異なる形での都市再生や都市計画に、人々の直接参加とDIY精神を刺激するアプローチを通じて、地域に関わる人々ともに取り組んでいる。今回の選考では、リバプールのトックステス、グランビー・フォー・ストリーツの地域住民らとともに長期間にわたって取り組んでいるプロジェクトが対象となった。同地域はサッチャー政権下の1981年に人種差別や貧困問題に対する抗議運動と警察との衝突(トックステス暴動)が発生したため、政府は行政の管理の下での地域の衰退を計画していた。アッセンブルは、衰退に抗する地域団体の活動に加わり、同地域の住宅や公共空間を刷新する活動に取り組んでいる。トラムウェイの展示空間をショウルームに見立て、グランビー・フォー・ストリーツの20世紀初頭に職人のために建設された住居群で使用されているドアノブやコーヒーテーブル、マントルピースなどを展示するとともに、本展のために新設した社会的企業「グランビー・ワークショップ」の製品を、来場者がカタログを閲覧し、ウェブサイトを通じて購入できるようにしている。なお、利益はすべて同地域の再生のために使用される。

ターナー賞は1984年に創設され、過去1年間に開催された展覧会などの実績をもとに、イギリスを拠点に活動する50歳未満のアーティストに贈られる現代美術の賞として国際的に知られている。近年はリバプールやゲーツヘッド、デリー/ロンドンデリーといったロンドンおよびイングランド以外の都市でも開催されており、31回目となる今回はスコットランドでの初開催となった。

アッセンブルのほか、最終候補に残っていたボニー・カンプリン、ジャニス・カーベル、ニコル・ヴァーマースにはそれぞれ5,000ポンド(約92万円)が授与された。トラムウェイで開催中の展覧会は来年1月17日まで。

ターナー賞http://www.tate.org.uk/visit/tate-britain/turner-prize

ターナー賞2015
2015年10月1日(木)-2016年1月17日(日)
トラムウェイ、グラスゴー
http://www.tramway.org/

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