デニス・ホッパー死去 (1936-2010)

2010年5月29日、前立腺癌の合併症で俳優デニス・ホッパーが74歳で亡くなった。折しも今夏ロスアンジェルス現代美術館で開催予定の『デニス・ホッパー:ダブルスタンダード』展が準備中であった。
この展覧会は去る1月に館長任命が公になるや論議を醸したニューヨークのギャラリー、ダイチ・プロジェクトのオーナー(この夏でギャラリーは閉廊の予定)で、6月1日付けで新館長に就任したジェフリー・ダイチが同美術館で手掛ける初めての展覧会である。
ジュリアン・シュナーベルがキュレーターを務める同展はホッパーの大型回顧展とも言えるもので、主に1961年から2010年までの作品を展示する。1961年ロサンゼルス史上最悪の火事と言われるベルエア大火災でそれまでの作品のほとんどが焼失しているためであるが、幸運にも残っている初期の作品からは1955年の抽象絵画が1点展示される。また60年代に彼が撮影したアンディ・ウォーホールら友人たちの写真や80年代のグラフィティ作品、また映画『イージー・ライダー』のフィルムを使ったインスタレーションに及ぶ。
俳優でありながら映画監督、アーティスト、コレクター、といくつもの顔を持ち、アメリカの現代美術とも常に密接に関わりながら生涯を閉じた。『ダブルスタンダード』展は7月11日から9月26日までゲフィン・コンテンポラリー・アット・MOCAで開催予定。

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