サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2014

サーペンタイン・ギャラリーは毎年恒例となった建築プロジェクトであるパビリオンの設計を、チリの現代建築を代表する建築家スミルハン・ラディックに依頼すると発表した。

ラディックは1965年サンティアゴ生まれ。生活者が状況に応じて即興的につくりあげる「はかない構築物[Fragile Construction]」であったり、神話など人間の根源的願望を表象した物語や長期的な使用により人々の物語が付与された日常的な事物から発想を得た建築で知られる。2001年にはチリ建築家協会により、35歳以下の最優秀国内建築家に選出されている。チリ・プレコロンビア美術博物館などの公共建築から個人住宅、「はかない構築物」など、これまでに手掛けた建築の多くはチリ国内で建設されている。
また、彫刻家のマルセラ・コレアとの恊働で彫刻や映像作品を継続的に制作しており、妹島和世がアーティスティックディレクターを務めた2010年のヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展に参加。日本国内でも東京都現代美術館、広島市現代美術館への出品のほか、昨夏には銀座メゾンエルメス フォーラムにて『クローゼットとマットレス』を開催している。

今回発表されたデザインプランは半透明の甲羅型のパビリオンで、臨機応変にさまざまな使用に対応する社会空間の創出を意図する。日が沈んでいくとともに、琥珀色の仄かな光が外部へと漏れる仕組みとなっており、7月から9月にかけて開催されるイベントの舞台となる。

同プロジェクトは2000年から始まり、本館に隣接する土地に夏季限定のカフェ兼休憩所としてパビリオンが設営されている。昨年新国立競技場国際コンペで最優秀案に選ばれ、今秋には東京オペラシティ アートギャラリーでの個展も予定されているザハ・ハディド(2000年)や、今年6月から始まる第14回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展のディレクターを務めるレム・コールハース(2006年)、そのほか、伊東豊雄やSANAAがこれまでにパビリオンを設計している。昨年、藤本壮介がパビリオンを手掛け、同プロジェクト史上最高となる約20万人が訪れた。

サーペンタイン・ギャラリー:http://www.serpentinegalleries.org/

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