
2016年1月13日、プリツカー賞審査委員会(主催:ハイアット財団)は、プリツカー賞の受賞者に、貧困層向けの社会住宅やチリ大地震後の復興計画など、公共性、社会性の高いプロジェクトを手掛けるアレハンドロ・アラヴェナを選出した。南アメリカ出身の建築家としては、ルイス・バラガン、オスカー・ニーマイヤー、パウロ・メンデス・ダ・ローシャに続く、4人目の受賞となった。授賞式は4月4日にニューヨークの国連本部で開催、アラヴェナには賞金100,000ドル(約1180万円)が授与される。
アレハンドロ・アラヴェナは1967年サンティアゴ生まれ。ピノチェト軍事政権下のチリ・カトリック大学で建築を学びはじめ、在学中に第5回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展に参加する。94年に設計事務所アレハンドロ・アラヴェナ・アーキテクツを設立。カトリック大学数学部研究棟(1998)を手掛ける。大学機関や石油企業と共同経営するシンクタンクならぬドゥタンク[Do Tank]、「エレメンタル」を立ち上げ、ソーシャル・ハウジングをはじめ、社会的、公共的なプロジェクトに取り組む。代表作として、地元コミュニティを巻き込んだキンタモンロイの集合住宅(2003)やコンストゥティシオン市の復興計画(2010-)が注目された。これまでに、第11回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展の銀獅子賞(2008)や、ロンドン・デザイン・ミュージアムの年間デザイン賞(2015)など数多くの賞を受賞。2009年から2015年までプリツカー賞の審査員を務めていた。また、2016年5月末に開幕する第15回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展のディレクターを務める。
建築を取り巻く環境を包括的に理解し、社会、経済、生活、都市といった要素を結びつける能力を持つ新しい世代の建築家を代表する存在として、今日における建築家の役割を拡張してきた実績が評価され、今回の受賞に至った。
ハイアット財団が1979年に創設したプリツカー賞は、しばしば建築界のノーベル賞に例えられる世界有数の建築賞として知られる。昨年はドイツ出身の建築家、フライ・オットーが受賞。歴代の日本人受賞者には、丹下健三(1987)、槇文彦(1993)、安藤忠雄(1995)、SANAA(妹島和世、西沢立衛)、伊東豊雄(2013)、坂茂(2014)がいる。
プリツカー賞:http://www.pritzkerprize.com/



